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王妃?え、時代は騎士でしょ!  作者: 吉那 薫
21/43

22.懐かしいもの

あれからもの凄い数のお茶会に誘われている。

だが、社交界で影響力のありそうな家にしか行ってない。

なぜって?

もちろんめんどくさいからよ。

なんなら、早々にミス・グレーの名を出して彼女の方に任せるつもりだった。

だが婦人も婦人で、ドレスをセパレート型にするというのを発案したのは私だとしっかり周りに広めてくれているので、いっこうに手紙が減らないのだ。


ミス・グレーは今や新作が仕上がる度に、私の元に送ってくれるほど仲が良くなった。

元々婦人は頼まれたらデザインするといった形で仕事を引き受けていたが、今回をきっかけに街に店を出したらしい。

しかも店の名が”レディ・ナイト”と名付けたそう。

もうやめて?

なんで女騎士なのよ。

自意識過剰かもだけど、これ絶対私のことだよね?

さすがに店名なんて恥ずかしいって。


ちなみに私は新しいデザインも発案した。

それはうちのメイドさんを見てて思いついた。

あ、メイド服オタクってわけじゃないからね。

うちってほら、公爵家じゃん?

だから、メイドさんみんな戦えるの。

戦闘メイドさんなの。

そんな彼女達が太ももに仕掛けてあるナイフを取り出した際に、そのままスカートを腰のところに固定できる優れもの。

前から見ると、後ろだけ長いワンピースって感じ。

可愛いし、これで戦いやすくなりましたって凄く感謝された。

まぁ、戦わないな越したことは無いけどね。

私も使えるデザインだしいっかなって。


そしてお茶会の誘いと同じくらいにめんどくさい悩みがある。

王子だ。

友達認定されたのか王宮に来いって手紙が来る。

1週間に1回というペースで会っている。

ねぇ、呼び出し過ぎだよ。

友達私しかいないの?

てか、別に私もあなたと友達になった記憶ないんだけどもっ。


王子と会ってやることと言った、お菓子を食べるか、一緒に剣の特訓をするか…かな。

王子と剣を交えるようになって真剣な恐ろしさを実感する。

当たり前だが少し当たるだけで、そこから血が出る。

今までは父かエリスさん、またはお兄様としかやってなかったから何も気づかなかった。

けれど実力の近い者同士でやると、どうしても血が流れることもある。


そう、私は生まれて初めて人を傷つけた。

手の甲だったからよかったものの、王子の顔とかだったら私打首ものだよ。

騎士を目指すからには相手を傷つけるなんて、避けられない道だ。

わかってる。

けど特訓のうちから、ましてや仲間に真剣を向ける意味があるのだろうか。

竹刀…いや木刀を作ろう。

そう思ったら、私の行動は早いぞ。




家に帰り、その事を父に相談してみた。

「ふむ。リリーは世界一優しい子だな。そんなリリーだからこそ気づいたんだ、胸をはれ。この事はその”木刀”とやらが完成次第、上に掛け合ってみる」

「パパ。無茶言ってごめんね。真剣での訓練も大事だと分かってるの。いざ試合になった時に、ある程度の痛みへの慣れという意味でも…ね。だから、木刀での訓練の日と真剣での訓練の日って分けるのもいいと思うわ」

父は、私が言葉を探しながらもたつき話しているのをただ黙って聞いてくれる。

そしていつも受け入れてくれる。

本当に大好き。


「何にせよ、木刀作りからだな」

「えぇ。まずは職人探しですねっ」

「ふむ、確かに剣と違って鉄を打つわけではない。むしろ木を削ると言った作業になる。」

「パパ、うちの庭師のマチスはどうかしら?」

「…なるほど。彼なら器用だし、我が公爵家の誇る庭師の1人で技術もあるし任せられるだろう。早速明日話してみようか」

「私もご一緒しますっ」

おぉぉ、さすが公爵家当主だ。

仕事がはやいはやい。

最近私への愛がすごいから少し心配だったけど、父の仕事ができる姿を見て、私はさらに父に惚れ直しましたとさ。

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