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王妃?え、時代は騎士でしょ!  作者: 吉那 薫
19/43

19.勝負の行方

合図とともに王子に向かって走り出した。

先手必勝よ。

そして、ギリギリの距離まで詰めて態勢を低くし相手の視野から消える。

よしっ、今ね。

勢いよく王子の後ろから剣を振りかざす。

「っと、あぶない。…へぇ。意外だよ。てっきり団長が好きで構って欲しくて言い出したのかも知れないとも思ってたけど。リリアナ嬢、君は本気で剣をやっているようだね」


ぶちっ。

は?なにそれ。

前世の時ころもよく、女だからだとバカにされ、剣道を極めて周りを黙らせた。

今世の方が男女の差別があるのは分かってる。

っ、分かってるけど。

…むかつく。


「そんな睨まないで、悪気はないんだ」

そう言って今度は向こうから仕掛けてくる。

くっ。

舐めてたわこりゃ。

てっきり王子のこと、剣触ったことありまーすっていう程度だと思ってたけど違うみたい。

それに圧倒的な力の差がある。

エリスさんと下手したら同じくらい剣が重い。


こうなったら…。

私は足捌きを変える。

滑るように優雅に踏み込む。

「っ!?」

ふふっ、驚いているみたいね。

これはエリスさんとの特訓で編み出した。

ダンスのステップをより効果的にする戦い方だ。

ずっと使うとただ綺麗な動きで終わるが、相手に慣れさせないように用いるとリズムを崩せるのだ。


そして女性ならではの身軽さを用いて翻弄する。

今度こそっ。

私は相手の腹部目掛けて剣の持ち手で力いっぱい打ち込んだ。

「ぐっ、かっは…はぁはぁ、やるね」

「はぁっ、はぁ。殿下こそ。急所狙ったのをとっさにずらすなんてお見事です」

お互い距離をじりじり詰め、走り出すっー


「そこまだっ」

父の声。

引き分け…勝てなかった。

悔しい。

でも、それ以上に楽しかった。

王子のところに駆け寄る。

「手を抜かず戦ってくださりありがとうございました。…殿下ってお強いんですね、びっくりしました」

私はそう言って、素で微笑んでいた。

「っ!」

「殿下?」

少し顔が赤いわね。

まぁこれだけ動いた後だし、そりゃ赤くもなるか。

私も赤くなってるんだろうなー。

はっ!メイクが崩れているのではっ⁉︎


その後、王子は急用を思い出したとかで去っていったので私も帰ることにした。

やっぱり王子って忙しいのね。

大変だわ。

まさか、剣まで習っていたのは予想外だったけど。


ふぅ、今日は特に1日が長かった。

家に帰ったら素振りをしてお風呂入って、夕食まで少し仮眠でもとろう。

でも…ふふっ。

みんなの驚いた顔っ!

任務は無事成功しましたっ、ミス・グレー。

しばらくのお茶会やパーティーは私の話題で持ちきりに間違いなしだわ。


その夜、家に帰ってきた父に「明日の朝からの朝練は私が見てやろう」と言われた私は思わず父に抱きついたのであった。

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