16.
王宮に行くまで1週間しかないこと、そして改革的なデザインや機能性が重要となってくることもあり、ミス・グレーとの話し合いが必要不可欠。
なのでミス・グレーが今日から我が家で泊まり込みでドレスの案を一緒に考えてくれることになった。
本当にありがたい。
やるからには全力で勝ちを狙うのだそうだ。
ここまで本気で私に力を入れてくれるからこそ、私ももっと剣の実力を上げようと思った。
私は女。
だからこそ純粋な力勝負になるとやはり不利だ。
私は自分が女に生まれたことを別に恨んでないし、むしろ胸を張ってる。
だって私美少女だもん。可愛いもん。
騎士団の中には女騎士がいるにはいる。
だが男性に比べて圧倒的に少ないし、居たとしても第三騎士団に入れればいい方みたいね。
ん?
私はもちろんパパと同じ第一騎士団に入る予定よ?
女には女の戦い方があるんだってのも証明する。
私はダンスのステップを組み込んでみたり、剣だけでなく足技も独学だが始めた。
元からある俊敏さとジャンプ力もいかしている。
「いやぁ、リリーちゃんだいぶ強くなりましたね。元から才能あるとは思ってましたけど、この半年ですごい化けましたね」
「本当ですか!エリスさんっ」
「僕もリリーに負けないようにいつも必死だよ」
うへへっ、にやけるからやめてよぉ。
純粋に褒められるのってやっぱり嬉しい。
まだまだ頑張れる気がしてくるよ。
「それになんていうか。リリーちゃんの動きって優雅で可憐な動きだからつい、見入ってしまいます」
そう言ってクシャッと笑ったエリスさんに私は今見入ってます、はい。
あいかわずの、わんこ度半端ないね。
むしろエリスさんも磨きがかかってるよ。
「エリスさん?リリーのこと狙ってるんですか?そうなれば私はあなたに剣を抜きますが…」
「…?っ!手合わせですね。やりましょうかっ」
お兄様、お兄様はシスコン度に磨きがかかってるみたいね。
そしてエリスさん、あなたはずっとそのままでいてください。
私の癒しであってください。
優雅さとか、可憐な動きはダンスのステップを取り入れた戦い方をしているからだろう。
まるでステップを踏んでいるかのように、相手との距離を詰めたり、相手の肩に手をついてジャンプ。ジャンプ後は空中や後ろから攻撃を仕掛けると相手の虚をつけることが多い。
実際のダンスだと女性が勝手にジャンプなんてしないなんてのは当たり前だからね。
これはあくまで、戦う時の話。
「お嬢様、そろそろお時間ですが」
メイが呼びに来た。
もうそんな時間か。
「エリスさん、今日もありがとうございました!お兄様、私次の予定が入っておりまして、先に失礼致しますわっ」
忙しい。
朝起きて素振り→朝食食べてミス・グレーと打ち合わせ→ランチ後は剣の特訓→軽くお風呂に入りミス・グレーと再び打ち合わせ→抜かりなく勉強。
最近はエリスさんが来れない日は別の人が指導に来てくれていることもあり、毎日剣の時間がある。
楽しくて仕方がないんだけどね。
なのでこういった過密スケジュールになった。
この生活を繰り返すこと3日目。
「だいたいのデザインは出来上がりましたわね。後は黙々と、ドレスを仕上げるだけですので家に帰ってやりますわ。ふふっ、創作意欲が止まらないわ。こんなにわくわくするのって久しぶりよ。楽しみにしててね、リリーちゃん」
「っ‼︎わ、私も努力してもっともっと強くなりますっ。そして私の…いえ、女の強さを証明します」
「うふふっ。期待しているわ。お互いベストを尽くしましょうね」
婦人は笑顔でそう言って帰っていった。
テンション上がってきたぁぁぉぁっ。
この時の私はすっかり忘れていたのだ。
王子に呼ばれて王宮に行くということ。
つまり、王子と、会うということを。
私の頭の中は、ついでの目的がいつの間にか、本来の目的としていっぱいになっていた。




