11.王太子の誕生日パーティー
あっという間に2日たった。
今日は王子様の誕生日パーティー当日。
はぁ。
行きたくないんだけどぉ。
だって前世の私は、これがきっかけで婚約者になったんだよな。
確か髪の毛にちゅっとキスされ「妖精みたいに綺麗な髪だね」と微笑えまれ、恋に落ちた。
簡単かよ!
落ちるの早すぎだからね、リリー。
って思うかもしれないけど。
他人に接してこなかったからこそ、正面きって褒められて自分だけに笑顔向けられると、勘違いしちゃうくらい愛に飢えてたんだもん。
しょうがないよね。
でも今の私なら、そんな褒め言葉くらい華麗に避けて見せるけどねっ。
なんたって、私には溺愛ファミリーがついているのだからねっ、ふはははは。
それにもはや前世とは違ってきていると、目に見えての証拠もある。
それは私が今着ているドレスである。
前世の私は父が適当に用意したであろう、流行りのリボンと、フリル多めのデザインのドレスを着ていた。
いわゆるヒロインが似合うであろうやつね。
だが今私が着ているのは、首を大きく隠すように少し斜めに結われた真っ白いリボン。
首筋と腕から手に伸びる部分のレースから透ける肌。
生地自体もシンプルな白でまとめただけのドレス。
リリアナのためだけに存在するドレス。
どっからどう見ても天使だわ。
前世、あまり女の子らしい服装をしていなかった分、憧れていたドレスで気分は上昇するばかりだ。
あぁぁ。
私ってなんて可愛いくて美しいんだろ。
ほんと罪な女ね。
コンコンッ。
「リリー?準備できたかい?入るよ」
「お待たせしました、お兄様」
ちょこんっ。
少し裾を掴み、軽くカーテシーしてみせた。
てか私と軽くペアルックなのか、お兄様も主にベースが白の装いである。
もう白同士だし結婚式あげちゃう?
てか、お兄様も白だと私が霞んじゃうんですけど。
私のさっきまでの自信返してお兄様。
「…行くのやめよう、リリーが可愛すぎる」
「お、お兄様!早く行きましょうっ」
ここまでして行かなかったら、朝からお風呂2回も入らされた私の努力無駄になるじゃんっ。
早起きがんばったんだよ?
その後玄関で、お父様とも同じような会話をしたのは言うまでもない。
もうっ、2人して私のこと大好きなんだから。
…うん、大丈夫。
私は1人じゃない。
王宮について通されたのは広い広い庭だった。
今回は伯爵家以上の、歳の近い子供達が集められている。
つまり、内密に王子様の婚約者を探すためのものでもあるので親達は一緒ではないのだ。
父とは我が家の玄関でバイバイしてきた。
始まると同時に王子様が庭に現れた。
途端に熱が上がる。
主に女の子達の。
王子様の一言によりパーティーは始まった。
「みな、今日は私のために集まってくれてありがとう。固くなりすぎず、楽しんでいってくれ。」
うん、今なら分かる。
いい作り笑顔に、いい子ちゃんの模範解答のような一言。
王子も大変だなと感心するとともに、つい不憫に思えてきた。
頑張れよ!
負けんな!
「リリー?どうしたんだい?胸の前で小さくガッツポーズのなんかして、可愛いんだけど」
「っ!な、なんでもありませんの」
あひゃーーー。
王子見て恋も芽生えないことに安心して、むしろ心の中で王子にエール送っちゃってた。
気づかずにガッツポーズしてたよ、恥ずかしぃ〜。
それに可愛いとか言ってさり気なく頬に手を添えないでください、微笑まないでください。
胸がきゅんきゅんして苦しいですって。
それにしても美味しそうなお菓子がいっぱいある。
何から攻めようかと試行錯誤していると、
「リリー、先にプレゼント渡して挨拶だけ済ましちゃおうか」
ん?プレゼント?
…。
やってもうたぁぁぁぁ。
プレゼントなんて用意してないよ。
忘れてたよ。
自分のことで今日までいっぱいいっぱいだよ。
プレゼントまで頭回るはずないって。
「お兄様ぁ」
少し涙目になり見つめると、お兄様はクスリと笑い小さな箱を差し出した。
「そんなことだろうと思ってたよ、はい、これ」
「ありがとうございます!ちなみに、中身は何ですの?」
「…。ふふっ、開けてからのお楽しみ」
あ、お兄様も知らないのね。
そんなお兄様もリリーは好きよ。
私たちの順番が回ってきた。
「お初にお目にかかります、ノアーズ・クロノスでございます。お誕生日おめでとうございます、王太子殿下」
「妹のリリアナ・クロノスのでございます。お誕生日おめでとうございます、王太子殿下」
兄の真似をしつつ、最低限度の言葉しか発さない。
「顔を上げて。そんなにかしこまらなくてもいいよ。お2人ともわざわざありがとう」
ふーん。
確かにこれは芸術品並みの美しさね。
髪の毛ツヤツヤじゃん。
「君が噂で名高い、クロノスの姫君だねっ。ふふっ。まるで妖精みたいに綺麗な髪だね」
そう言って私の髪にちゅっと軽くキスを落とす。
え?嫌味?
と受け取ってしまえるほど、私は貴方に興味がないみたい。
「…」
にこっ。
とりあえず微笑んでおけばいいよね?
あ!プレゼント渡さなきゃっ!
「ありがとうございます。こちら、ささやかながら兄とプレゼントをお持ちしましたの。受け取っていただけるでしょうか?」
王子は一度目を見開くが、すかさず笑顔を作り続けた。
「ありがとう嬉しいよ。何を用意してくれたの?」
知らねぇぇぇぇ。
てか、私も気になるくらいだもん。
えーっと。
「…。ふふっ、開けてからのお楽しみですわ」




