10.マナー
さてさて。
私の大切なお兄様と、エリスさんとの時間を邪魔したのですからそれ相応の罰は与えますよ。
とりあえず、あなたのその自分は間違ってないっていう瞳がもはや気に食わないのよね。
あと、剣の実力も自信があるからこうやってノコノコやって来たんでしょう。
ふふふっ。
すーーっごく、むかつくわ。
「まずは改めまして、リリアナ・クロノスです。横にいますのがお兄様のノアーズ・クロノスですわ」
「…」
何も言わずに少し微笑んでくれるお兄様。
私の意図をくみとってのことでね、ほんと好き。
「えーと、クロノス嬢?ノアーズ様の自己紹介を取ってしまってはいけないよ?」
なにそのかわいそうな子を見るような目は。
誰でも知ってるわよそんな常識。
本来なら、次期当主のお兄様の後に私が続くいうのが正しいことぐらい。
しかも優しく教えてあげたって顔してるのがなおムカつく。
「ええ、もちろん知っておりますわよ。」
私は堂々と微笑んで見せた。
「なっ」
顔がすぐ赤くなるなんて、ガキね。
「なんの断りもなく我が家に上がり込み、私どもの大切な時間を使ってまで、貴方と手合わせしろとおっしゃるような非常識な方に、お兄様直々の言葉なんてもったいないですわ。」
「っ!!」
ん?
なにそのショック受けた顔。
違う違う。
怒ってヒートアップしなさいって。
盛り上がらないじゃない。
「…すまない。」
「へ?」
つい気の抜けた声を出してしまった。
「すまないっ!確かにリリアナ嬢の言うとうりですね。僕はそんなところまで頭が回ってなかったです。教えてくれてありがとうっ」
そう言って直角に下げた頭をブンッとあげニカッとはを見せて笑って見せた。
あーーね。
この子本当にバカなだけなのね。
そう、バカ正直。
なんかいじめる気なくなっちゃった。
それに自分の非を認めて謝罪できるってなかなか出来ないと思う。
てか、嫌いじゃないんだよね。
「いえ、私も言いすぎました。…せっかくいらしたのですもの。1本くらい相手になって差し上げますわ。」
「本当ですか?ありがとうっ」
結果、私の圧勝だったことは言うまでもない。
でもこの子もいいセンスしてると思う。
私も負けてられないわ。
「いやー、ほんとリリーちゃんは才能あるよ!副団長の座奪われないように私も頑張らなきゃっていつも思わされます!」
そんなわけ。
9歳の私がこの国のNo.2の貴方を倒せるはずありませんって。
「クロノス嬢、今日はありがとうございました」
「いえ、こちらこそいい勉強になりましたわマルケス様」
「あの!兄もマルケスでややこしいので僕のことは是非、ニノラスとお呼びくださいっ」
「ええ。では私のこともどうぞリリアナと」
いやー、やっぱり剣を交えると友情生まれちゃう。
いい汗かいたーー。
ま、思ったよりニノラス様も悪いやつ、敵って感じはしなかったし、あれなら仲良く出来そうで安心したわ。
それにやっぱり、マルケス家って全員犬みたいでなんか可愛いのよね。




