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5話



「なんじゃこれは!!」


バフっとベットにダイブしたルイが飛び跳ね、叫ぶ。

まぁ、昔の人からしたら凄いと思うのかもしれない。


街に着いて、珍しそうにキョロキョロ辺りを見回していたルイさんを引きずりながらホテルに向かうのは疲れた。

実際、彼女は力が滅茶苦茶強いので中々引っ張るのも苦労したのだ。


何とか、ホテルのチェックインも済ませた。

一応成人済みの俺は問題無くチェックインできたが、問題は彼女の方だ。

彼女の神通力を駆使して何とか誤魔化して二人部屋を確保出来たけれど....不安である。


「凄いな!ここは高級宿なのか?」

「いえ、別に普通の一般的な宿ですよ」


「ほほう!それは凄いの!いやはや...此処まで進歩しているとはのぉ。あ奴らにも見せてやりたかったわ」


「それより、明日からの訓練についてなんですけど...どうするんですか?」

「ん?あぁ任せておけ!問題無いのじゃ。じゃがのぉ」


チラチラと物欲しそうに俺を見つめる。

あぁ、街を見てみたいって顔に書いてある。


いや、まぁそれでも良いのだけれど。

でも、俺はちゃんと強くなってこの世界を破壊したいのだ。

彼女がそれをしないなら、俺がするしかない。


「....訓練終わりに行きますか?」

「っ!本当か!?分かっておるの!お主は!!」


飛び跳ねながらはしゃぐルイさんは、なんだか子供みたいだ。

そんなに楽しみなのだろうか。


「んふふっ。色々見て回りたいのぉ....甘味処があればいいのぉ」

「えっと。ちゃんと訓練に付き合ってくださいよ?」


「ん。それは任せるのじゃ。まぁ、そんな張り切ってやらんでも、お主なら直ぐに強くなりそうじゃがな」

「本気で言ってます?」


軽い感じだなぁ。

いや、最強が言うんだからそうなのかもしれないけれど。


「本気じゃ。そもそも、私の感は外れた事がないでな。心配せずともよい」


「まぁ、良いですけど...あの」

「なんじゃ?」



ホテルに着いたので一番気になっている事を聞くことにした。

実際、この人は本当に大嶽丸なのかと。

いや、そうじゃない。


大嶽丸とは何なのかと。


「貴方は何故封印されていたんですか?それに、大嶽丸とは何なんですか?」

「ん?あぁそれか」


「よっと」と言いながら体を起こしてベットの上で胡坐をかく。

角と鎧が無い彼女は知らない人が見たら、海外に居そうな女優の様な感じだ。

そんな彼女が何故大嶽丸と恐れられているのか。


「そもそも、大嶽丸と言う奴らは退魔師の中でも一部の人間じゃった」

「一部の人間?」


「そうじゃ」と言って頷く。


「私の生きた時代はの、退魔師にも派閥、流派、思想で無数に組が存在しておってな。ただ、どの退魔師も最終的な目的は変わらんかった」

「妖魔を祓うですか?」


「うむ。だがの....一部には別の事を考える者がおってな、妖魔を祓える、力がある。それだけで、自分たちは選ばれた存在、人類の頂点だと考える奴らがな」


それは、今の退魔師の思考その者だ。

俺の住んでいた集落だけでなく、他の集落も大体そんな感じだと俺は知っている。

でも、一部?


「主流じゃないんですか?だって、今の人たちは全員。そんな感じですけど」

「そこは知らん。だが、当時は確かに少数派じゃったな。まぁ空海の存在が大きかったが...あ奴は馬鹿だが、義に忠実じゃった」

「私は鬼じゃと言うたろ?私を含め人間では無い、しかし妖魔でも無い存在が少数存在していたのじゃ」


鬼。

鬼は妖魔じゃないと言うのは聞いた事が無い。

だが、どうやら当時は違う認識だったのだろう。


「その中でも私は特に優秀での....私と、女狐、童子は特にな、じゃが、その少数からしたら面白くない話じゃろ?」


『自分たちは選ばれた存在。人類の頂点』を謡う退魔師からしたら確かに邪魔なのか。


人では無い。

鬼が、人の為に妖魔を討伐するのだから。

自身が掲げる矜持を踏みにじる存在。

それが、大嶽丸、ルイさんだったと。


「なぜ、私が封印されておったのか全く分からん。実際、私は寝て起きたらこんな事になっておったからの。じゃが、恐らく封印したのは当時の少数派のリーダーじゃろう.....ん?」

「どうしました?」


「いや。うむ.....何でもないぞ」


何か思案顔のルイさん。

何かあるのだろうか?


「まぁ、つまり、今お主が虐げられておるのは全部そのリーダーのせいじゃな」


声を出して笑いながら告げる。

俺からすれば笑えないのだが。


だけど、今の話は少し変じゃないだろうか。


少数派が今の主流になるって。

だって、空海は存命だったのだろうし、もし空海とルイさんが友だとしたら。


「あの、そもそもルイさんが封印されたと空海が気付いたらどうしたと思います?」

「そりゃ暴れるだろうて。あいつはそう言う所はしっかりしておるからの」


どうなっているんだ?


「ま、過ぎた事よ。既に空海も居ない。当時のリーダーも死んでおるだろうしな」

「そうですけど」

「それに、お主は力を付けて世界を壊すのだろう?ならば、他人の不幸等気にせん事じゃ...じゃないと立派な悪には成れんぞ」


愉快そうにしているが、一体この人はどっち側の存在なのだろうか。

良い人そうにも見える。

だけど、俺の目的の為に力を付けさせようとしている。


本当に謎だ。






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