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プヲタJKとアラサー俺、プロレス部をつくる  作者: 遊星


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20/31

20話 橋本サーシャvsビオレータ・リンダ

いよいよJKW旗揚げ戦。


小鞠たちも合流し、会場の設営だ。

リング設営は長谷川も手伝ってくれた。

小鞠たちをナンパして揉めた加藤も来ている。少し精悍になったようだ。


午前中の出し物でイスは出してあったので、並び替えるだけで済むのは助かった。


全席自由席だが、混乱を防ぐために生徒席と外部客は分け、張り紙で案内する。


ステージのスクリーンとロビーに持ってきたテレビに、プロモーションビデオを流す。

自分の映像を繰り返し流されて、美依希はずっと恥ずかしそうだ。


モギリ、案内係の配置打合せOK。

ブロマイドの売店はすみれ肝いりの生徒会役員たちだ。


調理部員が焼きそばとフランクフルトをホットプレートで焼き出したので、ロビーにいい匂いが広がる。


音響、リングアナの放送部員たちにも、花束贈呈が入る段取り変更を伝え進行台本に赤ペンで書き加える。


いよいよ開場10分前。

一度部員とスタッフ全員に集まってもらう。


「皆、今日はJKWプロレス研究部の初めてのイベントに協力してくれてありがとう。

プロレスの大会は、選手だけでなくスタッフ皆で作り上げる総合芸術です。

至らない点もあると思うが、最後までよろしく。


……じゃあ、部長の桂木小鞠からひと言を」


小鞠は、俺が見たどの瞬間より目をキラキラさせて、一歩前に出る。


「皆、今日はありがとー!

一緒に全力で楽しむぞー!

せーの、エイ・エイ・オー!」




いよいよ客入れだ。

優羽たちがチケットを売った外部のお客さん、生徒たちもかなりの人数が来てくれている。


たちまちブロマイドの売店に行列が出来る。コスチュームに着替えながら、小鞠たちも気になる様子だ。

緞帳の隙間から覗いている。


「こうして見ると、めっちゃいっぱい来てくれてるね!」


「緊張してきました……」




「よし!5分前だ。

俺の前説と花束贈呈、5ゴングが鳴ったら第1試合だ。

じゃあ行ってくるぞ。」


俺がリングに上がる。

BGMの音量を一瞬上げてから消し、客を注目させる。


「今日はご来場、ありがとうございます!我々JKWは、今年発足したプロレスの研究部です。このあと部員4名による2試合を予定しています。

生徒たちは全力で戦いますので、あたたかいご声援をよろしくお願いします!」


『ここで、プロレスリング・ジェロニモ代表、長谷川智樹選手より激励の花束が贈呈されます』


長谷川がリングに上がる。


「ここ川崎で、プロレスリング・ジェロニモと言う小さな団体をやっている長谷川と申します。草野先生とは、彼が現役時代に切磋琢磨した仲でもあります。

これからも頑張ってほしいと……」


と、長谷川が俺を花束で思い切りぶん殴る。飛び散る花びらと、シャツを脱いで露わになったタトゥーに悲鳴が上がる。


「とか、言うわけねーだろバーカ!」


長谷川は俺のTシャツを引き裂き、パンチを連打する。


『おいおいおいおい、長谷川さん、これどーすんだよ!』


『すみません草野さん、盛り上がるかなと思って!

ロープ・リバース・ドロップキックで落ちますんで!』


殴り殴られながら、小声で会話する。

長谷川が俺をロープに追い詰めてシュート。振り返して返ってきたところにドロップキック。歓声がわく。


おい、落ちる気無いじゃねーか!

長谷川は倒れたまま、こちらに目線を送っている。

『もう一発ごっちゃん』か。


片膝をつき、マットを叩き絶叫する。現役時代のスピアーを出す前のルーチンだ。


対角を走り込んでスピアー!

長谷川はもんどり打ってリングアウト、悪態をつきながら退場する。


くそ、仕方ない路線変更だ。

マイクを掴んで叫ぶ。


「お前ら!盛り上がる準備は出来たか!JKW第1試合、スタートだ!」


大歓声の中、5ゴングが打ち鳴られされる。




「長谷川さん、勘弁してくれよ〜」


ステージ裏でレフェリーシャツに着替えながら文句を言うが


「まあ1年分のリングレンタル代ですよ」


と長谷川は悪びれない。なし崩しだがリングで絡んだ者同士、ひとまずシェイクハンドする。


「優羽、すみれ、すまん。

少し予定外だったが会場は暖まってるぞ。いつも通りやれ」


2人と握手をする。まだ不安そうに見返す瞳を見て、両肩に抱き寄せる。


「絶対大丈夫だ」




the SLoT『F5』とともにステージに優羽が現れる。シルバーに青の差し色のワンピースのコスチューム。

満員の会場を悠然と見回してから、リングに向かう。


一角を商店街の知り合いが占めているようだ。「サーシャちゃーん!」と声援が飛ぶ。


リングインしコール


『青コーナー、共商の白熊

橋本ー!サーシャー!』


自信満々にダブルバイセップス。いいぞ。



ビオレータ・リンダの入場。

テーマ曲はCHETITOSのVioleta。


コスチュームは紫のロングタイツにセパレートのビキニタイプだ。

マスクから覗く瞳は化粧を施しているのもあり、普段の少年ぽさの代わりに女性らしい色気を湛えている。


手に新体操のリボンを持っている。

少し螺旋を描き、体操独特の大きく開脚した前方転回と同時に投げ上げてキャッチ。大きな拍手が起きる。


『赤コーナー プリティ・バイオレット

ビオレータ・リンダー!』


ゴールを受けコーナーポストに駆け上がり、Y字いやI字バランス。驚愕の声が起きる。



ゴングが鳴り、向かい合う2人。

ビオレータが果敢に組みに行くが一撃で吹き飛ばされる。


優羽がヘッドロック。なんとかロープに振るも強烈なショルダータックル。

優羽が走ったところに跳ね起きたビオレータ、ドロップキック。


優羽が倒れないと見るや、ビオレータ走り込んでコルバタ。柔軟なバク転からそのまま頭を挟み、ヘッドシザースホイップ。


続いてビオレータがウラカン・ラナを仕掛けるが、こらえた優羽が担ぎ直して、無造作にボディスラムで投げる。

ビオレータの小さな身体がマットでバウンドし、悲鳴が上がる。


そこからは優羽が体重を活かして攻める。チョップを胸板に叩き込むたびにビチィッという音が会場に響き渡り、ビオレータの胸元が真っ赤に腫れ上がる。


そして優羽の逆エビ固め。柔軟なビオレータの身体が、信じられないくらいの角度に曲がる。


売店で観戦していた生徒会役員を皮切りに、『ビオレータコール』が起こるなかなんとかロープエスケープ。


優羽が引き起こそうとするところ、反撃するが全く効かない。

優羽がロープに振り、強烈なラリアット。そのまま優羽の必殺技、跳び上がって背中から全体重で押しつぶすセントーンが炸裂する。


1,2、ギリギリでアップ。


ならばともう一度放ったセントーンをかわし、セカンドロープに駆け上がる。飛びつきヘッドシザースホイップ!完璧な受けだ!


リング端の優羽に向かって、ビオレータがロンダート。肩車の状態になると、そこから腰を捻って半回転し、ウラカン・ラナ。


ミステリオ・ラナだ!


優羽の足をクラッチし完璧に固め、3カウント!7分32秒ビオレータの逆転勝利!


優羽が、2カウントで返したと猛然と抗議に来るが、受け付けない。優羽はエプロンを叩いて「負けてない!」とアピールしながら退場していく。いいぞ。


息を弾ませるビオレータに勝ち名乗りを上げる。

『よかったぞ、さあアピールしろ』

コーナーに登って歓声に応える。



第1試合が終わると軽音部のミニライブだ。

ステージ裏に戻ると、マスクを脱いだすみれと優羽が抱き合って泣いている。


「ありがと、サーちゃんありがとう……」


「すみれちゃん、アタシたちやったよね……」


「うわぁ〜〜ん」


緊張から解放された安心からか、2人とも子どものように泣き出した。


命を預けあった2人しか分からない、言葉と気持ちがある。声をかけるのはあとにしよう。



さあ、第2試合、メインイベントだ。




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