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プヲタJKとアラサー俺、プロレス部をつくる  作者: 遊星


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14/31

14話 採寸、水浴び、セレブリティ

夏休みを直前にして、ついに全員のキャラが固まった。


小鞠はリングネーム:小鞠

王道プロレス技を使う正統派。イメージカラーは赤


美依希はリングネーム:魅依綺

切れ味鋭いキックを操る女スナイパー。イメージカラーは黒


優羽はリングネーム:橋本優羽

JKWイチの体格を誇る重戦車

イメージカラーは白/青


すみれはリングネーム:ビオレータ・リンダ

華麗なルチャ殺法を繰り出すマスクウーマン

イメージカラーは当然バイオレット


コスチュームのイメージ画は、意外と絵心がある優羽が描いたらしい。


「しかし、コスチュームはどうするんだ?俺もコスチューム職人は知ってるが、部費じゃ4人分とても足りないぞ」


「先生、何年ここでやってるんだ?ウチは実践を旨とする商業高校だぜ?」


「おー、スミレちゃん久々の生徒会長モード!」


「おう、皆ついてきな」


と、部室棟に連れてこられる。『家庭科部』と札がかかっている。

おっとりした雰囲気の部長が出迎える


「あら中嶌会長、久しぶり」


「こんちは、衣笠部長。プロレスのコスチュームを文化祭までに4着頼みたいんだけどさ」


「プロレスのコスチュームは作ったことないけどレオタードとかの生地で大丈夫なのかしら?

でもかなり丈夫に作らないといけないわよね」


「こんな感じで考えてんだけどよ」


とデザイン画を見せる。


「ふ〜む、これは材料代だけで1着5000円くらいかかりそうね〜。1着1万5000円でどう?」


「1万2000くらいにならねーかな?」


どんどん進んでいく商談にあっけに取られてしまった。結局1着1万2500円で成立したらしい。


「な?ウチは部活間での外注がOK、むしろ推奨されてるんだ。さっきのもちゃんと契約書を交わすんだぜ。」


「ちなみに共商祭は事前に内容の承認さえ取れば、外部との取引もOKだからな、夏休みも忙しいぞ」


いかん、また小鞠が頭から煙を吹いている。


「さっそく採寸してくれるらしいから、とっとと先生は出た出た」


と部室から押し出され、ぴしゃりと引き戸が閉まって鍵がかかる。

カチカチカチとメジャーの音が聞こえる。


「あら〜桂木さん着痩せするタイプね。羨ましいわ〜」


「うひゃひゃ、くすぐってー」


「市川さんバスト84、メモしてちょうだい」


「あの……すみません、もう少し小さな声で……!」


うーむ、ここに居ないほうがよさそうだな、と腰を上げた瞬間引き戸が空いて小鞠が顔だけ出す。裸の肩が見えている。

ちゃんと着てから出てこい。


「センセ、家庭科部の人がコスチュームの見本をみたいって。

明日センセが来てたやつ持ってこれますか」



翌日、ずっと使っていた青いロングタイツを持って家庭科部を訪れる。


「お〜これが草野龍哉の!」


「久々の呼び捨てだな」


「なるほど、柄はこう作ってここが二重に……参考になりました」


と衣笠部長。


「デザインは自分で決めるんですか?」


「色は団体の他の人と被らないように、デザインは、イメージだけ伝えて職人さんに任せてたな


俺は名前に龍が入ってるから、ドラゴンっぽい柄にしてください、とか」


「あの……センセ!」


小鞠が意を決したように発言する。


「着て見せて貰わないと分かりません……!」


「なんでだよ!そもそもお前が何を分かろうとしてるんだよ!衣笠部長も、今見てだいたい理解してただろうが」


「先生、聞き分けの無いことを言わないでください」


「オイ、なめてんのか?」


「クサリュウ、今さら何恥ずかしがってるのさ」


「念のため着ているところも確認させていただきましょうか」


衣笠部長まで。

こいつらメチャクチャ言いやがる。


「そもそもコスチュームってリングシューズからサポーターからテーピングまで全部トータルでセットだからタイツだけ履いても……」


と文句を言いながら足を通す。


「ほら、出来たぞ、ちょっと現役時より足細くなっちまったけどな」


「センセ、なんで上着てるんですか」


「いい加減にしてくださいね」


「やっぱり舐めてるだろ」


「往生際が悪いわね」


「腰回りが見えませんので」


これもうセクハラじゃないか?

観念してTシャツを脱ぐ。


「おお……」


「どうします?」


「し、写真撮るか」


「そうね」


「背中側もお願いします」


小鞠のインカメで集合写真を撮った。

なんの時間だこれは?




無事にコスチュームを発注し、いよいよ夏休みを迎える。


各人のキャラクターも決まった。

いよいよ試合へ向けての実戦的な練習が中心となり、より熱が入る。


「いいか、いくら技がキレイに決まってもそこに戦いがなければ、観客の感情は揺さぶられない、戦いを見せていることを忘れるな」


「締められて苦しい人間の手は、そんなところでブラブラしてないぞ!締めている相手の腕を掴む、ロープに逃げようとする、全身に仕事をさせろ!」


「技が決まってホッとした顔をするな!優羽、お前は手玉に取られて投げられたんだ、悔しいはずだろ!」


「美依希、ふだん余裕の表情を浮かべている分、大技を受けたら悪鬼のような表情だ!『こんなはずでは、許せない』目と顔で表現するんだ」


「もっと間を空けろ。プロレスでは観客に伝わらないことをやっても意味がない。どんな思いで相手を引き起こしてるか、何を狙ってるか、全部理解できるようにだ」


「ずっと早く動く必要はない。静と動のギャップ、動き出しの速さがあれば速く見える」


教えることは無限にある。

本来は試合のなかで自分で見つけていく技術だ。

道場で習得するのは大変だが、やるしかない。




冷房も無い古い倉庫は、地獄の暑さだ。

夏休みに入ってから、練習後に道場前で水浴びをするのが恒例になった。


ホースを持つのは俺の仕事だ。

適当に上を向けてシャワーにしたり、誰かを狙ったり。


「センセ、こっちかけて〜」


「オレばっか狙うんじゃねーよ!」


皆、無邪気なものだ。

アンダーウェアが透けるのも構わずはしゃいでいる。




部員たちを冷やし終わったら、中で着替えている間に俺の番だ。汗で重たくなったTシャツを脱いでホースで頭から首にかけて水をかける。

身体が濡れると、夏の熱風もいくぶん涼しく感じる。




着替え終わった部員が出てくる。


「それにしても毎日暑いわね。痩せちゃうわ」


「優羽さん細くなったらキャラが崩れちゃいます〜」


「お、出てきたな。来週のお盆1週間は練習休みにするから、しっかり体力回復させてくれよ」


「やったー!」


「あの……」


少し遅れて出てきた美依希が、皆に声をかける。


「私の親戚が葉山に別荘を持ってまして、1泊使っていいと言っていただいているので、都合があえば皆で行きませんか?」


「はやま?」


「スゲー!皇室かよ!」


「さすがお嬢様ね」


さっそく相談が始まる。親に連絡を取ったりなんやかんやして、8月13日14日の1泊に決まったようだ。


「あの……先生もぜひ」


「いや、ダメだろ」


「センセ、これは地獄の夏合宿なんだよ!猪木ならパラオ、JKWは葉山なんだよ!」


「猪木さんのパラオも、どう見ても遊びに行ってたけどな」


「ママに聞いたら『大人が付いていくなら』って条件だったわ」


「あーあ、先生がダメならキャンセルかー」


こいつら、どんどん息が合ってきていてやがる……!諦めのため息をつく。


「仕方ないな、でも届けも出してないから部外で言いふらすなよ」


ハイタッチしてるんじゃねーよ。


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