精霊封じ③
私の生まれた世界は、今済む世界から見たら神々の世界だが、その世界から見ればさらに神々の世界がある。
神々の世界のただの人は世界になる。
「小さな星と聖杯の秘密」
自分を犠牲にするための魔法の呪文。
それを唱えた和音は後悔をつづける。
力を得ないまま格だけを強制的にあげる精霊の魔法。
命の精霊が口笛を吹くと和音が砕ける。
外では皆が世界を砕けないようにおしとどめているのがわかる。
精霊は人を精霊にかえることがある。
気に入った人間を精霊に。
命の精霊だけがその衝動を抑えていた。
精霊は術自体が生命を持ったような存在。
衝動が正体。だから衝動を抑えることは自ら消え去ること。命の精霊、悲しみの精霊。その名は怒りを忘れせない者
「全ての命を愛す者。」
けれど精霊は2つの名を持つ。
呪いと加護は表裏一体。加護としての怒りを忘れさせない者は、命の精霊が命を滅ぼさないための抑えだった。
感情など無意味なはずの精霊が全ての命を精霊に変えてしまわないための最後の歯止め。
私が今それを解き放った。精霊の呪いの側面をこじ開けた。
命の精霊は精一杯悲しみの顔を作ったがそれが最後の抵抗だ。徐々に彼の顔が笑顔に変わっていく。
怒りを忘れさせない者から全ての命を愛す者へ
最強の精霊が笑顔になる時世界は滅ぶ。
何の悪気もない。精霊の性質そのもののため。
この精霊は既に4回世界を滅ぼしかけたが、それは怒りを忘れさせない者の時。滅ぼしたくないからこその破滅。今は違う。止められるものがいないなかでの望んでの破滅。滅びないはずがない。
けれど世界は滅びなかった。
私にはわけがわからない。
命の精霊がなぜかそこにいる首無しの竜に吸い込まれる。
一次魔法が一瞬健在した。
一次魔法ともなれば首から上がなくとも死にはしない。永遠の罰として首無しで永遠に生きる使命を課された竜は刑期を減らすために精霊を退治した。
わたしにはその事がわかる。
そしてこれは語り継がなければならない神話。
その夜が世界に啓示がもたらされた日である。
つまり世界は後2年で崩壊する。精霊によらないめつぼうは和音の限界。
何のことはない。世界は私の孫でなく私が滅ぼした。
だから明日の生贄は孫ではなく私にすべきなのだ。
私はアリシアに頼み私とリーナを入れ替えた。
醜く生にしがみつくリーナはきっとよい錬金術師になる。
彼女は鬼食い人の力を持った優秀な魔法使いとして元の世界に返す。私はこの世界に残り生贄となる事で未来を繋ぐ。
鬼から生まれた鬼食い人は人間になれず鬼にもなれない。けれどなりたい自分になれたのだ。
私は彼を睨みつける。
彼がこの場にいないなど関係ない。
魔術師協会最後の会長ともなれば望めば見えるだろう。「和音に浮気してた事はまだおこってるから」
私の怒りにブランドンは答える。
「魔術師協会の理念は魔術師の地位向上と世界平和」
それは彼なりの謝罪なのだろう。
彼は弟子の女魔術師をいとおしくおもった。
私のような鬼の娘等ほんとはなんともおもっていなかった。
けれどそれを隠し通すと言ってくれたし子供まで宿してくれた。
浮気はしたが本命は私であり、和音に近づいたのは魔術師協会の会長としての責務から仕方なくだという事にしてくれた。死にゆく私への最後の手向けだ。
首無し竜の正体は別作品で書く予定ですがサラを殺し、大勇者エリーを食べた竜です。




