鬼退治②
彼は有名な寺の息子だった。
家族以外も沢山の人が訪れる状況であり、彼は家族用の離れに住んでいた。
彼のうちに何度か言った事はあるけれど私の事は両親には内緒にしていたようだった。
今にして思えば寺の後を継がない事への後ろめたさのようなものがあったのだと思う。
私は大富豪の娘だったけれど家族だけで住む家、一応は執事等もいたけれど、彼の家程は広くない。私のうちに来た時にはそれなりに私のの両親とも仲良くしていたように思う。
それも私達が半ば駆け落ちまがいに同棲を始めるまでだ。
私には未だに不思議な事がある。
私はたしかに妹を鬱陶しく思っていたけれど一方で自分がこの世界に連れてきたのだから絶対に守らないといけないとも思っていた。
そんな妹を置いて彼と同棲をした。
家には一度も帰らなかった。
住んでいる場所は正確きは教えていない。
同棲する彼は小さな星と聖杯の秘密という書物についてしきりに話をしてくる。世界の秘密を探る彼の妄想の中の書物、私は世界の秘密というのはなにかの比喩だと思っていた。
私達はともに研究者の道を進んでいる。
彼と私が出会ったその日、彼は私のことを魔術師だといった。意味はよくわからない、私は極初歩的な魔術しか使う事は出来ないし、彼には私の使う魔術の事等話した事はない。
一応は話を合わせているけれどその話をする時の彼はとても不気味に見える。
それにいつの間にか魔術師というのは私が言い出した事になっていた。
彼がなにか本を読んでいる素振りを見せる事は確かにあった。
集中しているが私が近くに寄ると笑顔で振り返る。
私は彼の妄想に付き合い、本があるていで話を合わせる。
私と彼が付き合い出した頃からだろうか、世界各地で後に言う情報溢れと言われる現象が観測されるようになる。
私と彼が出会った事が聖なる盃を傾けたのだろうか。
命の精霊を介さない魂の作り方。
小さな星と聖杯の秘密は錬金術師になる為の書物。
精霊の作った魂は祝福され、人の作った魂は呪われる。私の元いた世界は人造人間により2度滅びかけたと言われている。それは彼から聞いた話だ。
何故彼が知っているのだろうか。




