鬼退治①
私は彼と過ごした。
彼とは同じ高校で私は何をやっても一番。
彼は文武両道の超難関進学校では勉強も彼のやっていた格闘技も部の中で真ん中位の成績だった。
いや、彼はいつも真ん中の成績だった。
受験の定員はキリのよい数字、当然偶数人だが一人がすぐに辞めてしまい、199人の学年だった。勉強は100位であり、100m走も彼と同じタイムはいない100位、いつも一番よりよほど異常だ。
私はそんな事は知らなかったが私の記憶力は生まれてから見聞きしたもの全て思い出せる。
進学校であり成績が張り出されるため意識せずとも見ていた。だから思い出せた。
あちらの世界の魔術師達からすれば当たり前の力。
むしろ見ていなくても見える位はやってのけるだろうが、私にはそれが限界だった。
彼は魔法の力を使わずに人々を操った。
些細な日常会話やその表情で人の行動に影響をあたえる。
彼と直接話さなくても彼と話した人との会話又聞き。
ほんの小さな影響、テストの点数や100m走のタイムを少し上げたり落としたりする。そうして自分はいつも平凡なちょうど真ん中の順位につく。それは私にはできない。
彼は魔法を使わずに、少なくとも私には出来ない事をした。
私はなんでも出来たのに孤立していたし、彼もあまり友達の多いほうではなかった。顔は良い。人当たりだって良い。家は有名な寺の子であり当然聞き上手だったしすぐに怒ったりもしない。私と違い話しかけにくい雰囲気はない。けれどそれが逆に八方美人のようになり深く仲のよい友人を作らせなかった。
私はぼんやりと妹の事を考える。
鬼食い人と人の成長速度は違う。
最初は10歳程度の差だったが、差はちぢまっている。
妹を守る為に母を殺した私、妹が生まれなければ私は子供のままでいられたのに。私は時々そう思う。
選択は後悔の連続だ、けれどどちらの道を選んでいてもそうだっただろう。
そんな私の気持ちを察して変に妹が遠慮をしすぎる事も、私の頼りなさを見つめさるようで私を苛つかせた。贅沢な悩みだ。
そんな時に彼と出会う。
彼は「やっと見つけた」と小さく呟いた。
私には聞こえない声だった。私の全てを思い出せる記憶にだけひっかかった。
その時から私は彼とばかり一緒にいるようになる。




