迷い鬼⑨
鬼は外、福は内
私は人の世界に迷い込んだ鬼
鬼を食べる人に首筋をかみつかれる。
私の祖母は鬼食い人という、人ではないなにか。
祖母と言ったが鬼食い人の特徴だろうか、私より少し年上と言った程度にみえる。
呪われた御守り、怖い、とても怖い。
人間を大好きな精霊キラキラ チカチカを生きたまま封じ込めた御守りにより、外の世界の呪いを受けた私は、体が麻痺、いや内側からなにかが壊れ逃げる事は出来ない。
元から人並みの身体能力も持ち合わせていないからどちらにしてもなのだか、私はかろうじて動く眼球を祖母からそらす。微笑みのきれいな人だった。
彼女の泣き顔は見ているだけで胸が張り裂ける思いになる。彼女は泣いていた。
彼女の母は人食い鬼であり、自分は鬼食い人、彼女は自分の妹を守る為に母を食い殺した。
その妹も50手前で病死、いや鬼を食べられなかった鬼食い人の末路として衰弱死した。
この世界には人食い鬼が一匹、鬼食い人が一匹しかいない。
私は気がつく。
私の祖父が助けたかったのは本当に私なのだろうか。
人食い鬼は一匹だが私は本当に衰弱が始まれば人を食べるだろう。食べるという感覚が分からないだけでいままでだって私に関わった人は数億の規模で怪死している。私は人を食べてきたのだろうか。
ただ祖母はどうだろうか、私の3人の弟達、祖母の妹、皆鬼が身内にしかおらず食べないまま死んでしまった。
鬼は私しかいない。今私を食べて生き延びてもそれまでだ。
私の植え付けられた記憶にある祖父は私に世界を壊せと言っていた。
祖母を生かすため?祖父は祖母の正体を知っていた?私はもう一度祖母を見つめた。




