迷い鬼⑧
祖母の身体に精霊の御守りが吸い込まれていく。
不気味にそして人を恐怖に掻き立てるように「キラキラ チカチカ」と唄う。私は耳を塞いだ。恐ろしかった。私が唄ったものとはまるで違う。恐怖が心を支配する。どれだけ心を鍛えても逃れられない恐怖であろう。花は枯れ、鳥たちは死に、石や、寺に使われた木までもが自ら命を捨てていく。キラキラ チカチカはあちらの世界の童話であり子供を勇気づけた精霊の話。勝手に可愛らしい声を想像していた。
祖母は痛みとそしてそれ以上の恐怖により悲鳴を上げ続ける。
このまま祖母は死ぬ。こんなものを体内に取り込んで無事で居られるわけがない。
私はそっと祖母からキラキラ チカチカを取り出しまた御守りにもどす。
祖母はそのまま気を失い倒れた。私の信者は4人亡くなり、私の済む街は1万の人が謎の失踪をとげたそうだ。
和音にとっても誤算だろう。
私も身体が動かない。
私の意識が消えていく。
祖母は意識を取り戻し私の元にやってくる。
私は最後の最後、目の前で死にゆく祖母を助けてしまった。そういえば私はまだ直接人が死にゆくところを見た事がなかった。母と祖父の時は物心がつく前だ。
私は苦しむ祖母を見て耐えられなかった。
祖母は今度こそ動けなくなった私の首筋に噛み付いた。
迷い鬼退治の時間がやってきたのだ。




