迷い鬼⑦
母と祖父の願いは私が生き延びる事。
ないはずの記憶。
リトリーバーの力の一端。
「キラキラ チカチカ」
私は呟いた。私は唄った。
私の御守りの名前。母親に捨てられ迷いの森に連れて行かれた子供が奇跡の生還を果たした時に持っていたきれいな宝石の名前。巡り巡って呪いを増幅させながら私の元にやってきた。
奇跡の生還を果たした少年ブランドンは10歳で森に迷い込み半年後救助された際には成人し、魔術師になっており、また人の言語を奪われていた。
川の底は死者の世界。
川の氾濫は多くの人の命を奪い飲み込む。
人は川沿いに住まねばならないが川沿いは常に死がこちらをうかがっている。
人の手の入った川の水に石を沈めキラキラ チカチカと話しかけると、きれいな石は悲しげにくすんでいく。
「そんな穢れた言語を使ってはだめ。」
私は祖母に平手うちをくらう。
今までひょうひょうとした態度を一変させる。
自分はもっと穢れた純精霊語を使って同じように怒られたくせにと思う。
精霊は気にいった人間に精霊の言葉を教える。
「キラキラ チカチカ」
私はそう言って祖母に首筋を差し出している。
祖母は一歩後ずさる。
私の言葉はただの精霊語、精霊が気に入った人間に人間にもわかるように手を加えて伝えたもの。
私がキラキラ チカチカというと人が死ね。
私は精霊になんてあった事はない。
代々伝わる古い経典を読んだに過ぎない。
宝石の名前は精霊の言葉、呪いを増幅させるむしろ危険な御守り。
私はなにも知らずにキラキラ チカチカとうたっていた。
祖母は小さく息をすい私をにらみつける。
私は覚悟なんて出来ていないが覚悟をしたふりは出来ている。キラキラ チカチカを沈めた水はK〇6になる。次第に水は自然に増えるようになる。
キラキラ チカチカを手放したものは数日で怪死する。起こされたキラキラ チカチカが持ち主がブランドンでないことに怒るのだ。
祖母の噛み付く力は弱い、祖母の躊躇につけこんだ。
私はキラキラ チカチカを彼女の身体に押し当てる
キラキラ チカチカ についてはそのタイトルの短編がございます。童話の企画の時に書きました。




