迷い鬼⑥
私は涙を流した。顔は笑顔のままだった。
祖母はもともと泣いていたけれど、口元には笑みが隠しきれてはいない。
「祖父は許してくれるでしょうか」
祖母とはいえまともに話すのははじめての女性。
血のつながった他人。そして育ての母
私の弟達は兄とも父とも顔がかなり違っていた。
鬼食い人の生態などしらない。
ひょっとすると本当は叔父だったのかもしれない。
私の育ての父は私を退治しなかった。
情もあったのだろう。
「私の4人の子は長女以外全員鬼だった。」
あなたの予想通りとつけたす。
私の考え等お見通し。
鬼の力が抑えられなかったから早死にした。
祖母は私の弟達を食べられなかった。
私の弟達は子であり、私は孫だった。
母は物心ついた頃にはいなかったが、鬼ではなかったと祖母はいっている。
「鬼を一匹食べたかから、長女は人だったのですね。」祖母は鬼だった自分の母を食べた。
だから1人は人を産む事が出来た。
鬼の親が人ならばどうすれば良いのだろうか、もし私がここで退治されても、いやされればこそ鬼は増え続けるのだ。
私は天を、いや和音を見上げた。
私は思いだす。
覚えているはずのない物心着く前の記憶。
祖父の母を苦しませ、自分も苦しませた願いは私が生き延びる事だった。
我々の住むこの星をゴマ粒とすると、太陽は球技に使うボールくらいの大きさで2~30メートル程度先に存在する。
我々の次の太陽は何千キロと離れ我が国を超え別の大陸までの距離になるという。
・・・宇宙とはなんと小さいのだろう、
その大きさは有限であり、法則にしたがう事でかろうじて存在しているのだ。
力を持たぬ神により作られた有限で不完全な我々の宇宙から抜け出さねばならい
世界から抜け出す時が来た。
私は首筋を差し出す。
けれど私はもう疲れたのだ。




