迷い鬼④
私は逃げた。
祖母にして育ての母。
私の弟は誰の子なのだ。
私の人より遅い足は世界的アスリートと同等の才能を持つ祖母を巻いた。
祖母は追わなかった体からだが、私が振り返ってもそこには誰もいない。
息をきらす私の前に誰かが立つ。
暗い影が不吉に伸びる。
追いつかれたのかと顔をあげる私の信者のひとりであり、祖母でなかった事に私は安堵する。
「先生やっぱり顔は変えてなかったんですね。」
私は導士や先生と呼ばれる。
恋人からの暴力から逃れて私の元に呪いの依頼に来た女性。今は復讐を忘れ私の人々の平穏を願っている。若い頃はなにかスポーツをやっていたはずだが恋人の暴力によりプロの道は絶たれたが重い罪には問えなかった。
私は笑顔を向け
「ちょっとは変えたよ」と嘘をついた。
私の宗派では人を傷つけない軽い嘘や冗談は人生の調味料であり推奨されている。
彼女はどこをかえたのか真剣に私を見つめている。
私がそっと見つめ返し笑顔を返す。
この娘が恋人の暴力によりプロの道を絶たれたというのは真っ赤な嘘で、ストーカーの加害者として男を追い回した末に自作自演で怪我をしたという事等私には関係ない。
根はいい子なのだ。
「先生やっぱり男前」
聞こえるか聞こえないかの声で彼女は小さく呟いた
僕の元に残った信者は女性が多かった。
彼女は僕が捕まっている時は自分はだまされただけだと真っ先にいい出していたが、僕の冤罪がわかると真っ先に迎えに来てくれた。
この女は僕にK〇6入りの手料理を食べさせる。
料理を出し食べるまで私の顔を眺め続けた。
私は人造人間だから・・・、K〇6なんて
「あなたは人造人間なんかじゃないでしょ」
目の前の女性は祖母に変わっていた。




