第13話 道中その②
なるべく早くとか言っといて遅れてすません。
今後は四日に一度は出したいと思ってます。
「今のは、いったい・・・・」
「それより今確か、詠唱を端折っていたような・・・」
「嘘、詠唱破棄が使えるの!?」
護衛の人達は口々にコメントしてくれているが、俺にとってはそんなに驚くような技ではない。
むしろ、こんなの見せたってアランだったら「まだ威力が足らんな」とかいったと思う。
最近思うが戦闘の時だけやけに冷静に立ち回れるんだよな。
魔物もそうだけど、動物なんかも何の抵抗もなくあっさりと殺す事が出来る。
厳しい法律に守られた日本で生まれ育った俺は命を刈り取る行為は極力苦手のはずである。
それなのに何故だかまるで当たり前のように殺す事が出来る。
この感覚は何処かで覚えがあるはずなんだが、一体何処だっただろうか・・・・
俺が燃えカスを見つめ考え事をしているとアートフェルが俺の肩を掴んできた。
「アーサー様!危険な事はおやめ下さい、
なんのために我々護衛が派遣されたと思っているのですか!?」
「えっ、僕を外敵から守るためでは?」
何言ってんだコイツ。
頭大丈夫か?
「その通りです。ですからちゃんと――」
「でしたら問題ありませんね。僕はただ”ゴミ”を排除したに過ぎません。
あれは外敵と認識するには余りにも弱すぎます。
それに僕はミランダさん達に下品な視線を送っていたのを許せなかっただけですし、他意はありませんよ。」
何故オークごときの魔物で騒ぐんだ?
あんなの皆4歳ぐらいに狩るだろうに・・・現に俺も狩ってたし。
俺が満面の笑みでアートフェルに答えると、
彼は驚愕色に顔を染め上げ、信じられないと言った様子で俺を叱ろうとした。
だが俺とアートフェルの間にローエルが仲裁に入ってきた事により難を逃れた。
「まあ、まあ、隊長。アーサー様は無事だったんですし、そんなに責めなくてもいいじゃないですか。
それにミランダさん達のためにとあっては感謝こそすれ、怒るのは良くなと思いますよ。」
「はぁー・・・・だがこんな危険な事を繰り返されては困る。今後は控えて頂ください。」
アートフェルは長い溜息の後、頭を抱えながら言葉を吐き出した。
「もちろんです。ではこれで僕は失礼しますね。」
俺はミランダさん達の方へと歩いていった。
ローラルはアーサーがいなくなった後でおもむろに口を開いた。
「・・・・・隊長。それで今魔法、何だか分かりますか?」
「恐らく、炎系統上級魔法の一つ、『グレムリン』だ。
対象を炎の檻に閉じ込め焼き尽くすまで消えないという恐ろしいしろものだ。だが・・・」
「ええ、あれは恐らく魔法の術式自体を弄っている可能性がありますね。
威力もさることながらあの発動方法が問題です。
指先一つで魔法を練り上げ、詠唱破棄を使い、苦も無くそれを行使する。
あんな事が出来る人間は今の王国には誰もいないでしょう。
そして恐らく人族の中だけで考えても百人もいません。」
「確かにあれは不味い。魔法自体も炎の玉みたいなのを矢を越す速度で飛ばし、
相手の体内で爆ぜさせる。これだけでも十分恐怖なのに
その後の周りを巻き込むあの爆発、威力だけなら第四級魔法と言われても差し障りが無かったほどだ。」
「本当に我々の教官どのは自分の息子に何処まで知識を叩き込んだのやら
・・・これでは我々の護衛の意味がありませんね。」
二人はお互いに苦笑いを浮かべていたがそれと同時に焦りも覚えていた。
もし仮にこの魔法が敵対する他国の手に渡れば甚大な被害を生む事になる。
なんとしてでも人目のつく所での使用は避けていただけねばなるまい。
◆◆◆◆◆◆◆
「ミランダさ~ん!」
俺が元気に手を振って近づくと彼女達は小走りで俺の下まで走ってきた。
「アーちゃん、大丈夫?怪我ない?痛いところは!?」
「本当に心配したんですからね!」
「可愛いぃ・・・・」
一人不適切な発言をしたツインテールがいるが今はスルーしよう。
「ごめんなさい心配かけて。で、でも皆に嫌な視線を向けるあいつらが許せなくて・・・」
俺は半泣きでミランダさんの腰の辺りに抱きつく。
その際にしっかりと手を震わせておくのも忘れない。
いやほんと、俺って演技の才能あるわ、今度どっか応募してみよっかな。
「アーちゃん、もういいのよ。私達のために怒ってくれたんですもんね。」
「そうですよ、だから可愛い顔を上げて下さい。アーちゃんに泣き顔は似合いませんよ。」
ミランダさんは俺の頭を優しく撫で、ケシーさんは膝を曲げて目線を俺の位置まで落してくれている。
「ほ、ほんとぉ?ほんとに僕、の事・・・怒りません?」
鼻水のせいでわざとうまく喋れないようにし、上目遣いで必死に懇願するように見つめる。
「きゃ、きゃわいいい・・・・」
「誰よ泣き顔が似合わないなんていったの?超可愛いじゃない・・・」
「グハッ!」
二人は頬を赤く染め俺の事をうっとりとした眼差しで見つめている。
そしてツインテールは鼻血を撒き散らし倒れた。
フッ、これでこの女達は完全に取り込んだな。
俺がお願いすればある程度まで融通を利かせてくれそうだ。
今後とも有効利用させて貰おうかと考えていると・・・
「ね、ねぇ、一度くらいなら手を付けてもばれないわよね?」
「そ、そうね一回だけ、一回だけ・・・」
突然二人が俺に向ける視線が熱いものに変化した。
あ、やべ、スイッチ入れちゃったかも・・・・。
「え、えんりょしておきます、ぼ、僕はこれで!」
逃げ出そうとする肩をしっかりと掴まれ、そのまま馬車の中に放り込まれた。
「だ、大丈夫、痛くしなから・・じゅる・・・」
「お姉さん達に任せておけば全てうまくいくわ。だから、じゅる・・・」
やばい、やばい。
6歳児を涎垂らして襲おうとしている人達がいるよ!
誰か、お巡りさん呼んできてくれ!
此処にヘンタイがいるよ!
・・・・待てよ。
これは前回の人生においても捨てる事の出来なかった俺の貞操をポイ出来るチャンス。
最初の相手が美女二人・・・。
これって夢にまで見たシチュエーションじゃないか。
てか誰もが羨ましがるんじゃね?
此処で俺が理性という名の枷を取り払ったら俺は誰もが夢見た桃源郷へ行く事が出来るんじゃ・・・。
親父、ごめん、俺約束守れそうにないよ。
いざ二人の谷間にダイブを・・・・
なんてするわけねぇだろ!
怖いよ、怖い。
6歳でしたいわけないだろ。
第一、心の発達に体が追いついてないんだから。
それに、ほら、俺、初めてだからさ。
ちょっと襲われるってのは勘弁してください。
まあ、俺には奥の手があるので何とかなるんだがな。
「助けて、アートふぇもん!」
「アーサー様、私の名前はアートフェルですよ。」
凄ぇ、呼んで二秒で駆けつけやがった。
「お前達、アーサー様が嫌がっているだろうが。やめなさい。」
「そ、そんなこんな可愛い子を前にして理性が抑えられるわけないでしょ!」
二人の目が血走ってる。
美人が台無しだな。
「・・・そうか。俺は止めんが、出来るならやめた方がいい。
万が一この事がアーサー様の両親の耳にでも入ったら・・・」
その先の言葉は必要なかった。
二人とも何事もなかったかのようにその場を離れ馬の方へと向かったからだ。
だが俺だけが知っている。
二人とも顔面蒼白でとても元気がなかった事を・・・。
俺の両親どんだけ怖いんだよ。
マジで過保護過ぎないか。
護衛役の一族郎党全てを人質に取るとかどんな神経してるんだよ。
いやー、でもアートフェルには感謝だな。
お陰で俺の貞操が守られた。
昨晩彼女達に襲われた所を助けて貰ったからもしやと思っていたがうまくいった。
ピンチになったら助けてくれる。
ほんと、ドラえもんみたいな奴だな。
俺の手持ちのカードが増える事は大変よろしい。
だが、基本的にコイツの事は嫌いだから
ミランダさん達に絡まれた時だけにしよう。
だってイケメンって見てると気分悪くなるもの。
さてあんな騒ぎがあったのにも関わらず俺は未だに
馬車には入らず山脈――じゃなくてミランダさんと一緒に馬で移動している。
俺が彼女達に頼み込んでアートフェルを説得して貰ったからだ。
仲良くなっておくと皆言う事を聞いてくれるようになる。
本当に素晴らしいことだと思う。
これが信頼関係ってやつだな。
ま、そんな事は置いといてどうやら町には後三日程で着くらしい。
この先にある町は冒険者の町『クローク』。
町の人達のほぼ全てが冒険者で構成されているという驚きの町だ。
何でも町の近くに『迷宮』が存在するらしく
そこでしか取れない魔力付与品
や、魔物の素材を求めて冒険者達が集まるそうだ。
それを買い付けるために集まる商人もちらほらといる。
需要と供給だな。
因みに『迷宮』とは別名『生きた洞窟』と呼ばれる魔物の一種らしい。
最初は天然の洞窟や古びた廃屋などに住み着いた迷宮が年を重ねるごとにだんだんと大きくなり
魔物や冒険者を呼び集めるための宝などを生み出す。
魔力付与品もそのひとつだ。
冒険者達が落として行った装備などを迷宮が取り込み、
時間をかけてそれに様々な能力を付ける事で、さらに冒険者達を誘き寄せる。
俺から言わせれば、巨大なリサイクルセンターだな。
迷宮は力尽きた冒険者、もしくは紛れ込んだ魔物などを吸収し、力を増加させる。
確かに恐ろしいが、宝を生み出してくれる事に関しては素晴らしいと思う。
何でも、ランクの高い迷宮から取れるお宝、魔力付与品は一財産稼げる程のものらしい。
命がけだけど対価はそれなりって事だ。
是非一度行ってみたい。
そして迷宮に入った冒険者達を背後から襲って金目の物を略奪するんだ!
超楽しそう♪
えっ、最低だって?
何っているんだ、もっとも安全かつ効率的にお財布を満タンにするにはこの方法が一番だ。
何故皆正攻法で稼ごうとするんだ、実際盗賊っていう立派なお仕事がこの世に存在するだろ。
あの人達はうまく機転を利かせて日々生きてるんだ。
魔物は中々倒せないけど、人間なら話は別だ。
彼らはとても賢いと思うよ、俺も着いたら行ってみたいなー。
俺は山脈に挟まれながら一人、町への思いを募らせるのだった。
最近他の作品を読んで、自分の作品に自信が持てなくなる事が多いんです。
なので、是非感想をください!
待ってます。




