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第12話  道中その①

遅れてすいません。これからはなるべく早く投稿できるように頑張ります。





旅に出てそうそうに問題が発生した。

そう、俺は馬車に乗った事がなかったのだ。

道も整備されているとはいっても酷い物で馬車の車輪が石ころにぶつかるたび揺れる、揺れる。


俺は車や飛行機、電車などでも乗り物酔いする方だったのでそれはもう酷かった。

最初走り出して10分で体調が悪化し、草むらで虹を作る羽目に。

そんな事が続き、移動スピードの遅い事、遅い事。

予定していた道のりの3分の1で日が暮れるという事態が続いた。


「乗り物が苦手と仰っていたが、まさかこれほどとは・・・」



「それに戻す量が尋常じゃありません。あまりの体力の低下に今寝込んでおられます。」


アートフェルとローラルの男二人は頭を抱えていた。

当初の目的どおりアーサーを旅に、

という目的はうまくいったのだが途中からは酷いものだった。


確かに乗り物を苦手とする方は多いと聞くし、

アーサーの場合は初めてだからそれも仕方ないと思っていた。

それが常識の範疇で収まればの話だが。


彼の場合そもそも抵抗があるというか、なんらか経緯で乗り物を酷く拒絶している要素がある。

そもそも、揺れる乗り物を知らなかったという話なら分かるのだが、

彼は両親から英才教育を受けていて馬車が揺れる事は知っていたはずだ。

まったく困ったものだ。



「それで体調の方は?」



「余り芳しくありません。今は女性お三方が全力で治療に当たっていますが、

彼らの中に治癒魔法に秀でたものが一人もいないのです。」



「それは、仕方あるまい。治癒魔法は習得が困難とされているだけでなく、

それを保持できる人達も多くない。」



「こんな事なら、治癒魔法を習っておくんだったな。

もし、今の状態がアラン師匠にでも知られたら俺達は一族郎党皆殺しかもしれん。」



「隊長、冗談にならないので、やめてください。今背筋が凍るかと思いましたよ。」



二人の間に静寂が訪れる。

そんな時、女性の悲鳴が聞こえた。



アートフェルは横に立てかけていた剣を取ると、走りだした。

もちろん、向かう先はアーサー達がいるテントの方だ。

彼の中に焦りが生まれる。


もし、此処でアーサーの身に何かあれば、自分は愚か、妹や父まで失う事になる。

自分が言った冗談が本当になるのではと思ったのだ。


テントの幕を開いて中の様子を窺った。



「どうした!?魔物か、そんな気配は・・・・・」



その先の言葉は続かなかった。

目の前にはアーサーに群がる女性達の姿。

嫌がるアーサーに対し、頬を摺り寄せたりほっぺにキスしたりしていた。


その都度、アーサーは弱々しい声で「やめて、やめてくださいぃ~・・・」

と呟いておりその声を聞いた女性達は「きゃー、きゃー」と叫ぶ。



「・・・・・。」



そういえば、さっきからローラルが付いて来ていない。

これは自分の勘違いと思う反面、怒りが湧いてきた。



「お前ら、そんなことばかりしてたら、家族、消されるぞ・・・」



テントの中にアートフェルの声が響いた。

次の瞬間、まるで今までの行動が嘘のように女性達は看病を開始した。

彼女達の顔は青ざめていたので、きっと意味を理解しているのだろう。

内心ではやりすぎたと思い、謝っておいた。



こうして、最初の夜は更けていった。



次の日、アーサーは体調を戻し、テントを収納していたアートフェルに一つの提案をして来た。



「僕のせいで当初の予定より旅に支障が出ているのは知っています。

だから、一つ提案なのですが、誰かと一緒に馬に乗せては貰えないでしょうか?

馬車と違い、馬ならさして酔う事もないと思うのですが・・・」



「確かに魅力的な提案ですが、それでは護衛の意味が余りありません。

いざと言う時守れる様に、出来ればアーサー様には馬車にいて貰いたい。」




アートフェルはそういいつつ、内心では馬に乗ってくれた方が楽だなー、と思っていた。

まさかとは、思うがそれを察したのかミランダさんが挙手をして立候補してきた。


「そのお役目、私にやらせては貰えないでしょうか?

私でしたら馬術も長けておりますし、いざと言う時ためアーサー様の容体を確認する事も出来ます。

それに私も皆様ほどではありませんが、側近として戦闘技術もある程度心得ているつもりです。」



「隊長、私もその意見には賛成です。

アーサー様には悪いですがこの先の町に早く着けねば食料は兎も角、水が補給できません。

それに謙遜しておられるようですが、ミランダさんのスペックは私よりも遥かに上です。」



「まあ、お前がそこまでいうんだ。そうしよう。ミランダさん、お願いできますか?」



「喜んで」



こうして俺は馬に乗せてもらう事になった。

その日から俺は虹を作らなくなり、気分が悪くなることはなくなった。

何故なら、ミランダさんの双丘を上回る二つの山脈に挟まれながら

の移動に俺の頭にはエロい事しか浮かばなかったからだ。


しかたないだろう、これは男の性なのだ。

俺にはどうする事もできない。



そんな俺の心の呟きに反応するかのように、二つの山脈は俺の頭を優しく包み込む。

あ、この感覚やばい。

俺が妄想の世界に飛びだっていると、森の中から此方に向かって殺気を放って来る気配がした。

すぐさま、俺は前の馬に乗るアートフェルに叫んだ。



「敵が来ます!皆さん準備してください。」



俺の声に一拍遅れるようにして皆腰の剣を引き抜いた。

きっと今気配に気づいたのだろう。

敵の接近に気が付いた後のアートフェルの動きはまさに迅速だった。

馬から降りたアートフェルは皆に指示を出した。



「ローラルは前衛、俺は遊撃、ケシー、ナタリー後衛、ミランダさんはアーサー様の護衛を!」



『了解!』



全員が一糸乱れぬ動きで戦闘態勢に入った途端、森の中から大きな影が三つ飛び出してきた。


俺は此方の世界の知識がないので、よく分からないがあれはきっとオークと呼ばれる魔物だ。

外見は一様人間の形をしているが、頭は豚で顔は醜く体は優に3メートルを超えている。

肌の色は緑色で体はボロ布で纏っているが、とても服と呼べるものではなかった。


手には大人一人分はある棍棒を持つものや折れた大剣を持っているものなど様々だ。

だがこの生物に共通するのは知能はあるが低く、

極端に繁殖力が強いのと人や物を壊すのを酷く好むといった困った生物だ。



奴らは此方に女性がいることが分かると唾液を垂らし始めた。

俺も何もせずにただアートフェル達と戦うのであれば手を下す気はなかったが

知り合いの女性を見て不気味に微笑む奴らを見て気が変わった。



「ローラル、敵はオーク3匹だ。落ち着いて戦えば、苦戦する相手ではない。

お前が切り込むと同時にケシー達が魔法にて奴らの注意を惹く。

その間にお前は前の一匹を殺れ、俺は後の二匹を殺る。」



「分かりました、じゃ行きましょう。ケシー!」



「待ってください隊長!アーちゃんがッ!」



「アーちゃん?何時からお前はそんなに親しくなったん――!?」



ローラルが気づいた時には遅かった。

アーサーはいつの間にか自分達の近くまで来ており、その右手をオークに向かって突き出した。



「アーサー様!?危な――!」



アートフェルが注意をする前にオークが此方に向かって走り出した。

距離はまだ10メートルは空いているが子供を守りながら戦うのは厳しい。

そう思ったのも束の間、彼は次に起こった事態に思わず目を見開いた。






       ◆◆◆◆◆◆◆






オーク:3ランク

獰猛で危険。

極めて好戦的な性格で主に肉を主食とし、他種の雌を甚振るのを大変好む。




オークはその巨体を持ってして人間達を幾度となく食い物にして来た。

オークの一撃は重く、並みの戦士なら軽く屠ることが出来るほどだ。

そしてオークはいつも馬車などを襲っては護衛を殺し、女を犯し、食料を食い漁った。


だからオーク達は今回もうまくいくと思っていた。

目の前に出てきた少年によって自分達が殺されるなど夢にも思わずに・・・。





       ◆◆◆◆◆◆◆




俺はミランダさんの手からスルリと抜けると止める声も聞かずオークの下へと走った。

俺は稽古のお陰で並々ならぬスピードで走れるようになっていた。

そのため一瞬にしてローラル達の横に付くとオーク達に対し即座に魔法を放とうとした。


俺は接近戦も出来るが、態々奴らの懐に入ってやる気は更々ない。

それに今は相手を倒すという感情の前に

「服汚れるのやだなー」と考え直し、魔法で殺す事を決断した。



俺は死体が腐敗した後の処理の事も考え、今回は炎系統の魔法を使う。

魔法を唱えようとするといつもの通り体が熱くなる感覚に襲われる。


そして魔力を指先に集中させ、放つ。




「『グレムリン』」



俺の指先から放たれたビー玉ほどの炎の塊は凄まじいスピードで

一匹目のオークの胸に当り、爆ぜる。

この魔法には少し細工をしてある。


空気中に含まれる水素の量はおよそ0.5ppmと言われている。

それを魔法により掻き集め、このビー玉ほどの炎の魔法に凝縮している。

俺も詳しくは知らんが、水素と酸素が一定の割合になると化学反応を起こし、

爆発を引き起こすらしい。


それを利用し、相手の体内で炎系統の魔法『グレムリン』と接触する事により着火、

爆発するという仕組みだ。

これにより通常より威力が格段に跳ね上がった魔法が完成する。


その爆発に巻き込まれるように残りの二匹も真っ赤な炎に焼かれその身を黒く焦がし倒れる。

炎は対象を焼き尽くしたと判断し、消えさった。

黒く焼けた大地に残ったのはオークの燃えカスと僅かな水滴だけだった。
















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