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少女は世界の英雄と共に歩む  作者: 浅見 英理
これから、よろしく。
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13/18

これまでのこと


含み笑いをしながら、白くまさんは焦げ茶のケトルをもつ。


「湯も湧かせていたんだが、紅茶でも飲まないか?

ミルクジャムか、貰い物のバラジャムしかないのだが。」


キョトンとしながら訊ねてみる。


「ジャムってことは甘いんですよね?それなら、なんでも嬉しいです。」


甘いのなんて。昨日のお粥だって甘くて温かかったのに…。

お茶にもなんて、なんて贅沢なんだろ⋯。


いつも使っているのか、手際良くティーポットに茶葉を入れ、ケトルからお湯を注ぎ、近くに畳んであった厚手の布巾を被せた。


「…さて、もういいだろう。」

布巾を外すと蒸らされたお茶のいい香りが漂ってくる。

静かにカップに注がれる。

ジャムはスプーンを添えて渡されたので、まずは一匙混ぜてみる。

「温かい…。」


ほんのり、甘酸っぱいようなバラジャムが紅茶の苦味を紛らわせてくれた。

一口、二口と飲んでいると、白くまさんが話かけた。


「丁度良い空き時間だ。飲みながらでいい、ここへたどり着いた理由を教えてくれないか?」


わたしは考え考え、お茶を飲みながら今までの自分のことを話した。


…両親が幼い頃に馬車の事故で死くなったこと。

自分も一緒に事故に合い、その時に脚に怪我をしたこと。


叔母が営む宿の手伝いの為に引き取られたこと。

その後、事故が原因で走れず、歩くのも遅いからと、宿の倉庫で生活していたこと。


宿が経営難になってからは奴隷商に売られて、別の店へ送られる際に逃げ出したこと。

そこで、森を進んだ先に家屋を見つけ、雨が振りそうだったので忍び込んだこと。


「屋根裏で寝ていたのはなぜだ?家主に助けを請おうとは思わなかったのか?」


その言葉に、ギュッと唇を噛む。


「…叔母さん夫婦も、奴隷商のおじさんも、ニコニコして嘘を付いたから。

もし出会った大人がお礼を期待して、わたしを奴隷商に突き返したら?

せっかく逃げたのに、酷い目に合うだろうし、あんなとこに二度と戻りたくなかったの。」


泣きそうになりながら空のカップを握りしめ、俯いた。


「そうか…。自分で自由を掴み取りたかったんだな。」


白くまさんの言葉にバッと顔を上げてしまった。

弾みでボロっと涙がこぼれた。


白くまさんは、優しく空のカップにおかわりのお茶を注いで、ミルクジャムの器をわたしへ差し出してくれた。


「私は君を奴隷商に突き返すつもりはないよ。落ち着いたら山合いの村か、街へ養子を探す手伝いをしてあげるつもりだ。

それまでは、療養するつもりでここで暮らしたらいい。

……ただ、たまに今みたいに食事の準備や、外にある栽培小屋なんかの世話を頼みたいんだが。それは構わないだろうか?」


白くまさんがまんまるの眼で見つめる。



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― 新着の感想 ―
エピソード13「これまでのこと」、読ませていただきました。 非常に美味しそうな紅茶が出て来ました。 そして、少女の悲しい過去がわかりました… 叔母夫婦に売られ、奴隷商にも売られ、幼い間にかなりの重い過…
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