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図書委員のおもちちゃん  作者: 鵲三笠


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第39話 仲直りさせたいおもちちゃん(前編)

とある日の学校。昼休みに大翔、おもち、稲見の三人が屋上でご飯を食べていた。


「今日もいい天気だな」

「そうだね」

「最近雨も降らないから、最高!」


稲見が嬉しそうにクリームパンを頬張る。


「二人共いいなぁ~お弁当あって」

「河野は作ってもらえないのか?」

「私の家共働きだからね~それに料理下手だからおもちちゃんみたいに作れないし」

「ふ~ん」

「購買で毎回ご飯買うのも飽きてきたし、食堂行こうかな?」

「食堂のご飯は安くて美味しいよ?特に定食」

「そうなんだ!おもちちゃんは行った時、何食べてたの?」

「えっと……」


言えない。ご飯大盛の定食に超特大ビッグビッグパフェをつけてるなんて絶対!


「……私はとんかつ定食かな」

「へぇ~!今度行ってみよう!二人きりで食べたいだろうし」


それを聞いて大翔とおもちの顔が赤くなる。


「別に……」

「そ、そうだよ!稲見ちゃんと一緒に食べた方がご飯美味しいよ!」

「本当~?二人きりの方が美味しいんじゃない?」

「そんなこと……」

「まぁ~そうだよね。特におもちちゃんの場合、大好きな大翔君と二人きりでドキドキしすぎてご飯の味がしないかもしれないね」


おもちの顔が赤面する。


「も、もう!稲見ちゃん!」

「アハハ!否定しないんだ」

「~~~!」


ピンポンパンポン。放送のチャイムが鳴る。


『一年七組河野さん。一年七組河野さん。至急職員室まできてください』

「何だろう?行ってくる」


立ち上がると、去る前におもちに耳打ちする。


「二人きりの昼休み楽しんでね?」

「……!」


おもちを照れさせるとニヤニヤしながら、屋上を出た。


「おもちちゃん」

「な、何?」


思わず高い声が出てしまった。


「さっきから気になってたんだけど、ほっぺにご飯粒ついてる」

「えっ?本当?」


頬に触れると、確かにご飯粒がついているのを感じる。


「気づかなかった……恥ずかしい……」


ご飯粒をパクッと口に入れるおもちを大翔がじっと見つめる。


「……?どうしたの?」

「……何でもない」


頬についたご飯粒を見てドキドキしたのを忘れられなかった。



職員室に呼び出された稲見は、先生からプリントを受け取り、職員室を出た。


「なくした宿題プリントもらえてよかった~」


屋上に戻ろうかと思ったが、二人きりにさせてあげようと思い、教室に戻ることにした。

教室への階段を上がろうとすると、正樹と目が合った。


「「あっ……」」


二人は視線を逸らし、黙ってしまう。

体育祭の時に、稲見が嫌いと言った時から会うことはなかった。


「えっと……元気?」

「……」


稲見が無視して階段を上がると、正樹が手を掴む。


「待ってよ稲見!」

「離してよ!」

「仲直りしたいんだ!稲見と!」

「……しつこい!」


手を振り払うと、正樹が悲しそうな表情になる。


「……稲見」

「話しかけないでって言ったでしょ」


怒りが収まらない表情で稲見は階段を上がっていく。

正樹は振り払われた手を見つめる。


(僕の何がいけなかったのだろう……)


仲良かった幼馴染に話しかけないでと言われてかなりショックだった。


(もう……稲見とは仲良くなればいのかな……)



放課後。授業が終わると、正樹は図書室へと向かって行く。


(人間関係について勉強しよう……今度こそ失敗したくない)


図書室の前に着くと、おもちと再会する。


「あっ……本屋の可愛い人だ。確か……おもちちゃん!」

「こ、こんにちは……」


いきなり可愛いと言われて戸惑ったおもちだが、照れることはなく、ドアの鍵を開ける。


「本を借りに来たのですか?」

「うん。人間関係について勉強しようかなと」

「そうなんですね。お困りでしたらいつでも声をかけてくださいね」

「助かるよ」


入室すると、本を探しながらおもちと話す。


「おもちちゃんって図書委員だったんだね」

「はい。今日は担当の日じゃなかったんですけど、欠席らしくて代わりに……」

「そうなんだ」


本を一冊一冊取りながら、会話を続ける。


「おもちちゃんって稲見と仲良しなの?」

「親友……ですね」

「へぇ~実は僕、稲見に嫌われてるんだよね」

「えっ……そうなんですか?どうして……」

「……僕が悪いんだ」


取った本を全て、カウンターに置く。


「僕の……人との関わり方が原因で、稲見を傷つけてしまった……」

「……」


おもちが貸し出し手続きを終えると、返却日を記した紙を挟む。


「二週間後までに返却してください」

「ありがとう」

「それと、今日は時間ありますか?」

「えっ?」

「稲見ちゃんと仲直りしたいんですよね?」

「そう……だけど……」

「何があったか私に話してくれますか?私から稲見ちゃんを説得できるかもしれないですし」

「……」

「あっ……余計なお世話だったら……」

「いや……」


正樹が真っ直ぐな目でおもちを見つめる。


「協力してほしい。今の稲見は僕の話を聞いてくれないから」

「……分かりました」


おもちが立ち上がると、席に案内する。


「聞かせてください。二人の関係を」


力になりたい。稲見がそうしてくれたように。

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