表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/37

10月30日(水)-12

 夕食の片づけを終え、キャンピングカーの中で寝る支度を整える。

 座席部分をしっかり倒すことによって、ベッドのような状態になる。しかも、隣り合って寝るようになってはなく、仕切りのようなものまで存在している。

 なんという心遣いができているキャンピングカーなのか。

 どれだけ片桐さんがいい人かは知っているが、さすがに横並びはちょっと恥ずかしい、と思っていたので、これはなんともありがたいベッド状態だった。


「少し狭いですが」

「いいえ、十分です。むしろ、ありがたいです」

「仕切りがあるとはいえ、気にされるようでしたら、私は運転席の方で寝ますけれども」

「とんでもない。横並びでしたらちょっと恥ずかしいですが、こういう仕切りがありますし」


 ぽんぽん、と私は仕切り部分を軽く叩く。多少私がごろごろと転がっていったとしても、倒れそうにない。


「では、失礼して。申し訳ありますが、先に眠らせていただきます。おやすみなさい」


 片桐さんはそう言い、仕切りの上部にあるカーテンを引っ張る。仕切りに加えて、カーテンまであるとは。ちょっとしたカプセルホテルのようだ。


「はい、おやすみなさい」


 私は片桐さんにそう答え、しばし考えてから車の外に出る。

 外はすっかり真っ暗になっており、キャンプ場や道路の方にぽつりぽつりと設置された街灯だけが頼りなく光っていた。

 空を見上げれば、満天の星。

 家や街灯のひかりがあるものの、それでも生活している場所よりも光が少ないため、星の光がまっすぐに降り注いでいる。


「絶景だな」


 私は呟き、キャンピングカー横に設置されたままのダイニングセットの椅子に、腰掛ける。

 キャンプを堪能しているが、キャンプをしに来たわけではない。やらなければならないことは、頭に入っている。

 圭たちの所在を、確かめること。

 神社が怪しいとあたりを付け、明日調べてみるつもりではある。そして神社だけではなく、村全体を満遍なく歩いてみた方がいいかもしれない。

 圭ならばきっと、私の厄付を感じられるだろうから。


「大丈夫……だよな」


 ぽつりと呟き、はあ、とため息をつく。なんとなく大丈夫だろうとは思っているが、やっぱりどこか不安が付きまとう。

 少しの手掛かりでも見つけなくては。


 時計を確認すると、まだ九時だった。寝るには少し早い。せっかくなので、スマホを使って古籠神社について調べてみる。

 いくつかの写真と、概要をざっくりとまとめているページが見つかる。いろんな神社を巡っている人のサイトのようだ。だが、載っている内容は、既に得ている知識とさほど変わりがない。

 そんな中、掲示板の書き込みに目が行った。


『鬼を祀っているっていうけど、これって神主一族が鬼の末裔ってこと?』


 その書き込みに対し、憶測だけが飛び交っている。そしてすぐに別の話題へと流れてしまっていた。

 私はすっかり変わってしまった話題から離れ、再び当初の書き込み付近を確認する。

 書き込まれているのは、去年。今回の件とあまり関りはないのかもしれない。

 それでも「鬼の末裔」という言葉が頭にこびりついてしまった。


「もしそうなら、圭君も」


 そう呟き、頭を振る。そっちじゃない。圭がこの土地の出身で、楠木さんと親類かもしれないとか、そういう事じゃない。

 発想を変えれば、圭が使える異能の力を楠木さんが使えるかもしれない、ということが考えられるということなのだ。

 もしそうならば、私にはよく分からないけれども分かる人ならば分かるという、結界を張ったり祓ったり食べたりということができる、という事ではないだろうか。


「……聞いたら、教えてくれるかな?」


 もし私なら教えないなぁ、と考え、ふう、と大きなため息をつくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ