第4話「沖田家」
さて、家に着いたご両人。
「俺の家族は全員霊感ゼロのはずだ、その上鈍感ときている」
一生懸命話している麗治と違いこころは、
「へぇ〜、土地神なんですか〜」
沖田家の洒落た庭で誰かと話していた。
「って!おい!、うちに幽霊いたのかよ!?」
「幽霊じゃありませんよぉ、神様ですよ」
恐るべきマイペースぶりをみせるこころ。
「とにかく、家に入るぞ」
「はい!」
「ガチャ」
「ただいま〜」
「おじゃましま〜す」
早速喋ってしまったこころ。
「あら〜?お客さん?」
「ち、違うよ、なに言ってるんだよ、俺一人だよ」
母の声にビビりつつこころを睨む麗治。
(お前声他人に聞こえるのかよ!?)
(いえ!?今までそんなこと!)
「おかえり〜、長い散歩だったな」
4歳年上の兄貴がリビングから出てきた。
「うん、まぁ、いろいろ行ってて」
「かっこいい」
またもやこころはうっかり喋る。
「かっこいい?」
姿は見えないが声は聞こえる事がわかった。
「あ!いや!あ、兄貴今日なんだかかっこいいな〜って思って」
苦し紛れの言い訳。
「れ、麗治!わかるのか!実は髪型変えてみたんだ!どう?かっこいい?」
「あ、ごめん、俺の見間違いだった」
いい気になっていた兄貴に冷たい一言を浴びせ階段を上がり2階へ向かった麗治。
麗治の部屋
「何で声だけ聞こえるんだよ!」
「すみませんすみません!以後気をつけます!」
家でこの様子だと学校ではどうなるか・・・。
「でも・・・かっこいいお兄さんですね」
確かにルックスは申し分ない兄ではあった。
「でも性格ナルシストなんだよ」
あっさり暴露。
「他にご兄弟は?」
「姉貴が一人、父さんも母さんもいる」
「へぇ〜、5人家族っていいですね」
「・・・・まぁな」
家族全員で死んだ、
そんなこころの前では、家族の事で胸が苦しくなった。
「お姉さんは美人ですか?」
頬を赤らめきらきらした瞳で真剣に訊いている。
「・・・・」
この天然の性格、どうにかならないかな・・・・。
「ごはんできたわよ〜」
母の声で階段を下りる2人。
リビングではすでに料理の用意ができていた。
「う〜ん、いいにおいだな〜、ママ♪今日はどんなお料理?」
(あの人は?)
(うちの父さん、ああ見えても銀行の代表取締役だ)
メガネをかけ、髪は灰色、スリムな体系だが筋肉はある。
「んもう!パパったら♪、ビーフシチューだってさっき言ったでしょ♪」
(お母さん?)
(ああ、一応父さんとは5つ違いだ)
ロングヘアーに長身のスリム体系、ちなみに童顔。
(麗治さんたちの美形の理由はこの人か)
(ん?なんか言った)
(いえ)
「ね〜、早く食べよ〜」
(・・・お姉さん?)
(そうだ)
(・・・ポッ)
(赤くなるな)
ショートカットでさらさらヘアー、アイドル顔負けの美人。
麗治とは2つ違いの姉だ。
「では、いっただっきま〜す」
家族全員で食事をとっている家庭はなかなか珍しいだろう。
こころはさすがに幽霊なので食事はできない。
一旦部屋に戻り明日の分の勉強をする麗治。
「・・・・・うらやましいですね」
「え?」
こころがぽつんとつぶやいた。
「そうか・・・」
やはり家族が寂しいのだろう、見ていると辛いのだろう。
麗治はこころに対して優しく接しよう、神になれるよう、手伝おうと決心した。
「あのビーフシチュー・・・・おいしそうだったなぁ」
そのセリフを聞いて、麗治の決心は崩れたのは言うまでも無い。
「ビーフシチュー?・・・」
「あ、すいません!つい!おなかは減っていませんがなんだか食べたくて」
「なんだそりゃ・・・・」
数分後
こころは勉強している俺を気遣ってか静かにしていてくれる。
「ジュルリ・・」
なぜかよだれのすする音が聞こえた。
「おい、どうした?」
こころを呼びかける。
どうやら本を読んでいたようだ。
『世界の美食グルメ』
「なんだかこれを読んでいたら本当に食べる事ができて」
「・・・・・」
おそらくその理由はお供えのような効果が発揮したと考える。
というかそんなにおなかが減っていたのか!?
「スー・・スー・・」
今度は寝ている、可愛い寝顔をして幸せそうだ。
だがそこは俺のベットだと言いたい麗治。
仕方なくその日はずっと起きている事にした。
明日は学校でカップルを作らねば、
と思いつつ、
「あいつらにばれないと良いんだがなぁ」
どうでしたか?
次はやっと学校編です。
その次からカップルつくりです・・・。
長くてすいません。