第3話「縁結びの神」
縁結びの神、
赤い糸をつなぐとか、運命の人と出会わせるとか、
西洋風に言うとキューピット。
相手のハートを矢で射抜く・・・。
「・・・こいつ神なのか?」
麗治はこころを指差して言う。
「いや、まだ霊魂だ」
「・・・なぜ神に?」
ここは成仏させるのではと疑問を投げかけるが、
「寿命が短くて「子」として死んだ場合そいつは原則として転生できないのさ」
幸い頭のよかった麗治は素直に理解できた。
「だが、親不孝の「子」としての死と違い、その子は家族全員で死んでいる」
家族全員で死んでいたのか・・・そう知った麗治は改めてこころの辛さがわかった。
「ま、その場合大体は「子」を「神役」にさせるんだよ」
「神役?」
「ポピュラーなのは「死神」、他には「精霊」「背後霊」「座敷わらし」ま、いろいろだよ」
なぜキツネが英語を話すのかは気になったが「神役」についてはよくわかった。
「ま、てなわけであの子は性格上「縁結びの神」が適しているのさ」
なるほど、で、本人はどう思っているのか。
「・・・・・・」
まだ固まってる。
「ま、とりあえずがんばれってことさ」
なんともいい加減だなキツネ様、
「で、こいつはどうすればいいんだ?」
「かんたんさ、カップルをたくさん作ればいいんだよ」
なんとも堪能な英語ではあるが麗治は無視してこころに話しかける。
「わかったか?成仏はできないが神になれば良いそうだ、カップルを作る手伝いだぞ、大丈夫お前ならできるって」
早口に喋るがこころは聞いているかわからない。
「心配だねぇ〜、その子一人じゃ無理っぽいね、あんた手伝ってやんな」
ここで呪いの効果が発動されたかと思う麗治。
「まってくれ、いくら俺でもそんなことはできない」
「良いじゃないか、あんた霊力もないのにあの子が見えるんだろ」
あ、霊力無いんだ俺。
「で、それが?」
「運命を感じるねぇ〜、なぜかこの子だけ見えちゃう、これを運命と呼ばずなんと言う」
「偶然」
あっさり答える。
「はぁ〜、言いたくないけど、強情な奴にはこれだね」
そう言って麗治に近づくキツネ様。
体にまとわりつくような体制で麗治の耳元にささやく。
「いいかい、幽霊はデリケートなんだ、心が傷つけば暴れだす、いいかい?霊魂は霊力の源、そして恨みは霊力を強くさせ、復讐する力を与える・・・あの子は可愛い子だねぇ、その分見捨てられると・・すぐ傷ついてしまいそうだよ、復讐の標的は、間違いなくあんただよ」
見事な脅しを受けた俺は震える体を止めるのに必死だった。
言いたい事は言えたらしく戻るキツネ様、
「なに、何か困ったら会いにこれば良いさ、そういう面倒を見るのも私の仕事だからね」
結局預かる事になった麗治、
「はぁ〜、何で俺が・・・」
「あ、あの」
「ん?」
こころは落ち着いたらしく正常に戻ったようだ。
「私、やっぱお邪魔でしょうか・・・」
うつむきながらか細い声で喋る、
「い、・・いや、・・邪魔じゃぁ・・うんっと」
気まずくなり言葉をにごらす。
「わたし、本当ドジなんです・・特になにもできないし・・・迷惑・・生きている頃も・・周りにいっぱいかけて・・・あのときの事故も・・・私が・・・映画・・見に・・行きたいって・・わがまましなければ・・お父さんも・・お母さんも・・・私、わたしがわる」
「ストップ」
麗治は、涙を流しながら必死に喋るこころの言葉をさえぎった。
「おまえは邪魔じゃない、自分を悪く思うな、大丈夫だから・・・・・泣くなよ」
泣かれると辛いからさ、と小さく言った言葉は聞こえなかったが、
こころは、
あの初めて話せる麗治と会ったあの時のように、笑っていた。
「やっぱ、あんたじゃないとその子は守れないのさ」
キツネ様はフッと笑いながら姿を消した。
「とりあえず、家に行くか」
「はい」
林を出て商店街を通る、
「そういえば初めて会った時カップルの側にいたなお前」
「あ、はい、なんだかカップルの近くだと温かいんです」
「へぇ〜」
「明日からたくさんカップル作らないと!」
元気になったこころは燃えていた。
「とりあえず、カップルと言えば学校ですね!」
「・・・まぁな・・」
「?、どうしました?」
変に暗い麗治。
「いや、俺の友達に霊能力のある奴が多くて」
前途多難の波乱万丈な日々が始まる予感のした麗治は憂鬱だった。




