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第2話「キツネ様」

「ねぇねぇ!見えるんでしょ!」

「・・・・・」

憑いてくる幽霊、

仕方なく麗治はある場所へ向かっていた。

団地の道を通り、なじみの神社へ。

 霊堂神社

「どうだ、成仏できそう?」

おもむろに俺は成仏祈願をした。

「う〜〜〜ん、無理です」

歳はおそらく中学生、もしかすると同年代かもしれない。

「だめか・・・なにか未練とかは?」

「・・・それが・・・思いつきませ〜ん」

幽霊とは思えないはじけっぷり。

「はぁ、なにかいい方法は」

「あ、あの人に聞いてみたら?ほらあそこにいる」

そういって指を指した方向は誰もいない鳥居。

「なに言ってんだよ、だれも・・・まさか」

ふと引っかかった考え、

もしかして別の幽霊では!

「おい!お前の見えるのって・・・あれ?いない?」

さっきまで隣にいた少女がいない。


「あの〜、ちょっといいですか〜?」

何時の間にか鳥居のところで独り言を言っている少女。

「まてまてまて」

止めに入る麗治。

「へ?なんでしょう?」

「幽霊に聞いても仕方ないだろ」

「え?幽霊なんですか!あの人」

「そもそもお前が幽霊なんだよ!受け答えできておかしいって思わなかったのか!」

「ああ」

どうやら少しボケているようだ、これを世間では天然と言うらしい。

「あ、でも情報はつかめました」

「はぁ?」

まさかさっきの幽霊から何か聞けたのか?

そう思いつつ耳を傾ける麗治。

「実はここの神社でキツネ様に会えれば幽霊を成仏させる方法を教えてくれるそうです」

「なるほど、キツネ様か・・・」

「なんでもこの神社の裏の林の奥にほこらがあるそうです」

「そうか」


林はだいぶ長い間、誰も手付かずのため荒れ放題で奥まで行くのは大変だった。

「ところで、お名前お聞きしてませんでしたね」

少女が上から聞いてきた。

「沖田麗治、高校生だ」

宙に浮いている少女に答える。

「沖田?・・もしかして先祖は新撰組に!?」

「いない、ただの商人だった」

真剣にあの沖田総司の家系だと思った少女は落胆した。

「で、君の名前は?」

次は麗治が質問した。

「へ?あ、あぁはい、加藤こころです」

「心?」

「ちなみに平仮名で「こころ」ってかきます」

「ああ、こころ、ね」

「年齢は15歳、中学三年生です」

「ふーん」

足場の悪い道無き道を進む麗治。

「死んだ理由は事故です、乗っていたバスが追突事故で横転、そして爆発」

「・・・・」

いつの頃の事件かは知っていた、去年、自分が中学三年生の時の出来事だ。

確か小学生の子供の飛び出しでトラックが急停止、

小学生にぶつかる寸前に止まれたが運が悪かった。

その後ろにバスがありその後ろでまた乗用車が突っ込んできた。

さらに追い討ちのように後ろから巨大トラックが急停止と運転手のハンドル操作で回転し、

バスと乗用車に激突、乗用車は潰れバスは横転、そのバスがガソリンに引火し爆発、

たまたまトラックはガスなど爆発物ではなくどちらも衣類製品の物資のため、

さらに酷い大惨事にはならなかったが、トラック運転手、バスに乗っていた人、乗用車の家族、

巻き込まれた人もいれて死者21名と、巨大追突事故だったのである。


その当時テレビでその事を知った俺は心底怯えた。

なにせ自分の住む町でこんな大事件が起きたとは・・。

上に浮かんでいる少女も、不慮の事故で成仏できなくなったのだ。

そう思うと・・・悲しみばかりが胸にあふれた。


「そういえば、麗治って私しか見えないんですね」

いきなり呼び捨てされた麗治。

さっきまで悲しみでいっぱいだった胸は怒りへと変わった。

「もう呼び捨て?」

「あ!すみません!つい癖で・・」

どんな癖だよと思いつつ確かに変だと思った麗治。

「確かにお前しか見えないなんて変だな」

「え、私は「お前」ですか?」

いちいち突っ掛かるこころ。

「立場じょう、俺の方が上、だからいいんだよ!」

「う〜〜」

楽しいトーク<?、をしつつやっと目的地、キツネ様のほこらについた2人。


「で、どうやって頼むんだ?」

「さぁ?」

ここにきてつまずいた2人。

「しっかし、変な場所だなぁ」

確かに、さっきまで雑草だらけの道だったのにここだけ地面がでて、

しかもきれいにほこらが立っていた。

「すみませ〜ん、キツネ様〜」

ほこらに呼びかけるこころ。

「そんなんで来るわけ無いだろ」

「なんじゃ、なんかようか?」


「・・・・・」


あっさり出てきたキツネ様・・・。

「い、いつのまに!」

ほこらの上でたたずむ狐、

「あ?人間とは珍しい」

どうやら、やはりこの狐がキツネ様のようだ。

たしかに普通の狐と違い大きく感じる。

「あの〜、私、成仏したいんですけど・・」

「ん?可愛い子が来たねぇ」

そう言ってこころの目を見据えるキツネ様、

「どうです?成仏の方法なんか?」

どうやらすでに幽霊と会った為、この化け狐には驚かない麗治。

「・・・わかった、あんたは縁結びの神を目指しなさい」

「・・・・は?」

それって成仏なのか?

ただただ疑問がつのる2人だった。





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