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推しゴト!!  作者: 朱音小夏


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81/82

episode80

「待って!!怜!!怜っ!!」

「美幸?!社長は?!」

「......分からない。でも何人でもいいからここに来いって......」

「どうやら倉庫?の様ですね」


皆、喜子の無事を願いながら美幸のスマホを覗き込む。

すると、美幸がとんでもないことを言いだしたのだ。


「......オレ、一人で行ってくるよ!!」

「ハァ?!危険すぎんだろう!!」

「そうですよ。狙いは美幸君なのですから......」

「でもみんなが行って騒ぎになったらそれこそ、事務所の、"LUMINOUS"の危機だよ?!」


美幸の一言で誰も何も言えなくなってしまった。

......ドームツアーが控えている中問題を起こすのはご法度すぎる

。どうしたものかと悩んでいると、黒川と白田がやって来た。

美幸は思わず黒川に抱き着いた。


「よ、美幸?どうかしたの、か?」

「......姉さんが、姉さんが攫われた。オレのせいで」

「喜子さんが?!」


間髪入れずに驚きの声を上げたのは白田であった。

無理もない。今の二人は婚約者なのだから。


「一体何があったのか、説明してくれ」


黒川が冷静に問うと、美幸達は事細かく説明をした。

結局、桐生が犯人であったこと、そして攫われた喜子の代わりに美幸に来るよう要求してきたこと。


「......なるほど。相手の目論見は美幸を手に入れるだけでなく、"LUMINOUS"を世間から消し去ろうと言うことだろう」

「......どういうこと?」

「アイドルが一般人に手を出すなんて立派なスクープじゃねぇか。だからそれも狙いの一つだろう」

「でも!!行かないと姉さんが!!」


美幸が心配をしていると、黒川はどこかに電話をかけ始めた。

――一体どこへ?美幸達が疑問に思っていると、黒川は美幸のスマホに送られてきたマップを自分のスマホに移し、それをどこかへ送っている。


「っし。これで完了っと。使えるもんは使ってなんぼってやつだぞ」

「「「「「「?」」」」」」

「オレちょっくら出てくるわ」




***


「あぁ、美幸に会うのなんて何年ぶりだろう......楽しみで仕方ないよ。姉想いの君だからきっと来てくれるよね」

「......怜君、貴方変わったわね」

「?オレはもともと美幸しか見ていませんでしたよ?なのに、お姉さん......モデルなんかにさせるんですもん。あのスクープだってホントは撮りたくなかったけれど仕方なく、ね」

「......水島もぐるなわけ?」

「もともとヤツが売れ始めたのはオレの写真のお陰ですからね!!ちょーっとお願いしたら協力してくれましたよ」


美幸もエライやつに目をつけられたな。

そう喜子が思った瞬間、外が何やら騒がしくなっていた。

――一人じゃなくてもいいと言ったがこんなに騒ぎになるか......?

次の瞬間、倉庫のシャッターがガラガラと音を立てて開かれる。

――そこにいたのは、念願の美幸。ではなく、大勢の警察官と、その先頭に立つ黒川であった。


「な?!なんで警察が?!」

「よー。桐生さんよう。オレの美幸に手ぇ出そうとしたみたいだな」

「!!お前が、美幸の!!オレは認めないぞ!!」

「お前なんかに認めてもらわなくて結構。......やれ」


黒川の掛け声で警察が一斉に動き出し、あっという間に桐生はお縄に。

なんともまぁ、あっけない終わり方だな。


「......黒川君、貴方一体何者?」

「あー、それはおいおいってことで。早く帰りますよ。美幸が待ってます」

「......貴方の優先順位が美幸で嬉しいわ」


黒川は喜子からそう言われると返事はしなかったものの、耳の赤さが答えを物語っていた。

その一方で、警察に連行されながら、桐生は薄気味悪く笑いながら「美幸......」と呟き続けていた。その声には未練と執着がにじんでいる。

けれど、もう彼が美幸の前に現れることは二度とない。


――こうして美幸を巡る一連の騒動は幕を閉じた



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