episode81
あの騒動の一件から、MIYUKIと水島のスクープはデマ。
ということが世間に知れ渡ったため、美幸は晴れてモデル、俳優業に精を出していた。
――そして時は流れ。
「MIYUKI。最近ちょっと頑張りすぎじゃないか?」
「何言ってるの!!だっていよいよ今日がLUMINOUSのドームツアーが最終日なんだよ?!姉さんのお陰で最終日の東京ドームツアーの関係者席に入れてもらえることが出来るんだけども!!自分でとったチケットが全外れとか......辛すぎる!!コネがあってよかった!!」
「......もうしっちゃかめっちゃかになってるぞ」
MIYUKIとしての生活にもすっかり慣れたし、バラエティー番組でLUMINOUSが出た瞬間に思わずはしゃいでしまい、世間公認のLUMINOUSファンになってしまった。
ちなみにバラエティー番組に出るようになって、お酒を飲みながら喋るという企画で、お酒に弱い美幸は派手にやらかした。
それは、"恋人がいて、相手はマネージャー"だと言うこと。
とんでもない爆弾を投下したせいで、一時期事務所はいろんな対応に追われる羽目に。
とうとう会見まで開いて、引退かな?と思った矢先、MIYUKIファンが「それでも好き!!」「アンチなんかに負けないで!!」と温かいコメントが来たので、黒川の顔が写らないようにツーショットを撮ってSNSに上げた。
「まったく、お前のマネージャーは疲れるよ」
「でも、自分以外に譲る気は?」
「100%ないな」
「フフッ。そういうとこ好きですよ」
美幸がそう言うと、黒川はキューブレーキをかけた。
美幸は「うわぁ!!」と声を上げてダッシュボードに額をぶつけた。......地味に痛いようだ
「お前なぁ!!運転中にそんなことを言うな!!」
「......照れちゃうから?」
「......行先変更しまーす」
「ごめんなさい!!早く行かないと最終公演始まっちゃう!!」
「ハァ。ハイハイ」
――そしてやって来たライブ会場。変装も完璧で今美幸はただの一般人にしか見えない。
会場に入る前に、楽屋に挨拶に行く。
「みんなー!!お疲れ様!!やっと最終公演だね!!......って、何事?」
「踊り疲れたぁ―足腰いたーい」
「喉潰れそー......」
......流石最終公演。みんな疲労困憊のようだ。
だが、ステージに立つと別人のようになるのだから、アイドルってすごいと美幸は感動する。
「......って美幸!!来てたんか!!」
「気づかなかったんかい!!」
「......みんな疲れてるだろうけど、オレ、LUMINOUSがあってよかったって思ってる。だから、最終公演、応援してるね!!」
「美幸にまで言われちゃあ、頑張らないわけにはいけないな。任せとけって!!最後の一発ドデカいもんにしてやるよ!!」
「「「「おー!!」」」」
そうしてLUMINOUSのみんなは舞台裏へ、美幸と黒川は関係者席へと移動した。
――そこからは夢のような時間だった。あの憧れていたLUMINOUSのドームツアー。
それを今、一番大切な人と観ている。
幸せだ。幸せすぎて怖いくらい。
そして、最後の曲。美幸が撮ったMVの曲だ
。聞いていて涙が出てきそうになる
。曲も終盤にかかったところで、何故かスポットライトが美幸達を照らし始めた。
そして翔汰と理が美幸と黒川をステージ上へと上げた。
「みんなー!!スペシャルなゲスト、MIYUKIだよー!!本人にはこのこと秘密にしてたんだー!!」
「そして、こちらがMIYUKIの敏腕マネージャーさん!!さぁ、スペシャルな舞台でミラクル起こしちゃって!!」
美幸は何が何だか分からないでいたが、黒川はそうではないらしい。
澪里が黒川にマイクを差し出す。
「MIYUKI、いや、美幸。私とこれからの人生一緒に歩んでいただけませんか?」
「え......それって」
黒川は跪くと指輪をとりだした。そして――
「私と結婚してください」
その黒川の"プロポーズ"に場内は割れんばかりの歓声で包まれた。
――そんなの答えは一つしかない
「貴方となら地獄の果てまで共にします。愛してますよ。」
「――こっちのセリフだ」
こんなところでプロポーズされるとは思ってもみなかった美幸だが、こんな幸せもう二度と訪れない。そう思いながら、黒川と誓いのキスをした。
ドームを揺らす歓声と、LUMINOUSのメンバー達の祝福の声に包まれながら――。
美幸と、黒川の新たな人生が始まった。




