episode78
美幸と黒川を残し、喜子達は黒川のマンションから去って行った。
「すみません。こんなことになっちゃって......」
「いや、大丈夫だ。......それより」
「?......んン......」
黒川は美幸の唇を塞いだ。美幸は思わず黒川の背中に腕を回す。
「......ふはっ。もう、一樹さんいきなりすぎ」
「悪いな。......我慢できなかったからな」
「......一樹さん、オレのこと好きでいてくれる?......信じてくれる?」
美幸は黒川の胸に頭を預けながら、震える声で問うた。
「当たり前だろう?......オレがお前以外の言葉を信じるわけがない」
「......一樹さん、大好きです」
「残念だったな。オレは、"愛してる"」
そう二人は笑い合いスクープのことなど、なかったかのように甘い時間を過ごした。
***
夜になり、今日はシェアハウスの方に帰って来ていた。すると、分厚いアルバムを眺める5人の姿が。
「......まさかとは思うけど、そのアルバムって......」
「おう!お前の子供の頃のアルバム!!いやぁ、可愛すぎん?社長に女の子みたいにされてるのとかサイコーなんだけど!!」
「......よくもまぁ、そんなものまで......」
美幸はため息をつきながら夕飯の支度をする。
「ヨシ君の写真っていっぱいあるよね!全部家族が撮ったの?」
「......いや、中には怜が撮ったものも......」
美幸がそう言うと、5人はバッと彼に視線を集める。
「な、なになに?!」
「ちょと!!そいつ絶対怪しいって!!......社長に連絡しないと......」
「怜のは趣味程度のものだから!!あ、でも賞をもらったこともあったっけ?」
「「「「「ビンゴ―!!」」」」」
「?!え、なに?!」
メンバー達は頭を抱え始めた。
......ここまで無頓着でいられる美幸はある意味凄い。
メンバーを代表して、晴が美幸の肩を掴み説得を始める。
「いいですか、美幸君。仮にこの彼が接触してきたとしても、絶対についていってはダメです!!もし接触してきたら、断るか、僕ら、黒川さんの誰かを呼ぶかしてくださいね?!返事は?!」
「は、はい......」
***
「あぁ、久々に聞いた美幸の美声......たまらなく良かったよ。カメラ越しでも君の姿を見れて良かったよ......まぁ、腹が立つ写真だったし、これを機にオレの所に来てもらえるようにしておいたけれど......邪魔な奴が多すぎる」
男、【桐生 怜】は一枚の写真を手に取り美幸以外の顔をペンで黒く塗りつぶす。
そして出来上がった写真を見て「これで良し!」と明るく呟いた。
そしてその写真に向けて――
「いいかい?君を見ていいのはオレだけ。君が見ていいのもオレだけ。――それは忘れちゃいけないよ?」
桐生は部屋中に貼られた美幸の写真に語りかけた。
そして、封筒の中に美幸の写真を詰め込み、美幸達の事務所のポストに投函しに行った。




