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推しゴト!!  作者: 朱音小夏


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episode72

翌朝、スマホのアラームで目を覚ました美幸はアラームを止めようとするが身体が思うように動かない。まるで何かに拘束されているような......。その正体は美幸が愛してやまない黒川のガッチリホールドによるものであった。美幸はハァ、とため息を一つくと、黒川に声をかける。


「......一樹さん。起きてください。......朝ご飯作れませんよ?」

「美幸が目覚めのキスでもしてくれるならすぐ起きれるんだがな......」

「......仕方ありませんね」


そう言いながら、美幸が黒川にキスをしようとしたその時だった。"コホンッ"と一つの咳払いが部屋に響いた。美幸がギギギと壊れたブリキのおもちゃのように首を動かすと、背後にはめずらしく、全員が早起きして勢揃いしていた。


「へ?!なんで?!ここオレの部屋......え?リビング?」

「ドラマ鑑賞の後皆で酒盛りしたじゃない。......相変わらずお酒に弱いんだから」

「そこが美幸の可愛いところですよ、社長」

「あら!早速惚気かしら?私は貴方の"お義姉さま"になるのよ?」


「そこのところ、分かってらっしゃる?」と喜子は黒川に対して言うと、黒川は立ち上がって喜子の前に佇む。二人の目にはバチバチと音が鳴りそうなくらいに火花が散っていた。


「私は美幸が生まれてからずうぅっと見て来たのよ?新参者に負けるわけがないわ」

「いえいえ。私は勝負だなんて......。ただ新しい関係から生まれる性格もあると思いますよ?」


......ダメだ。どちらも美幸が好きすぎるためか、互いに譲らない。美幸は仕方ない。と言わんばかりに、二人を交互に抱きしめ、黒川には頬にキスまで贈った。


「......オレにとってはどちらも"違う意味で"大好きなんだから喧嘩しないで、ね?」


その美幸の落とした爆弾に、二人は脳内が爆発した。何ともまぁ、起爆しやすい爆弾である事だ。残りのメンバーはそう心の中で呟くのだった。......もし、自分が黒川の立場になっていたら......喜子に勝てる気がしない。そうこうしている間に、普段の朝食の時間が過ぎてしまっていた。美幸は、慌ててエプロンを身につけると、朝食の支度にとりかかった。今日はおかずを作る時間がないため用意できたのは味噌汁と、炊き立てのご飯だけ。それでもこのメンバーにとってはかけがえのないご馳走なのである。


キッチンで忙しなく朝食作りをしている美幸を見て、黒川は「流石オレの嫁さん。手際が良いな」と呟く。その言葉に異議を唱えたのは喜子であった。


「あら。まだ嫁にやるとは認めてなくってよ?」

「......またですか、社長。いい加減にしてくれませんかね?オレ達は愛し合ってるんですよ?」

「けれども、決めるのはこのわ・た・し。よ?」


二人が言い合いをしていると、思わぬところで嫉妬をする人物が二人。美幸と白田である。美幸は黒川を。白田は喜子を。ガッチリと掴んで離さなかった。


「一樹さん、オレ以外とそんなに楽しそうに話してたら......少し妬いちゃうかもです」

「喜子さん、私も独占欲がないわけではないので......程々にお願いしますよ?」

「「......分かりましたか??」」


普段穏やかな人ほど、嫉妬させると案外恐ろしい。そのことを身をもって学んだ二人は、互いに顔を見合わせると、苦笑いを浮かべ、"美幸と白田の前ではもう張り合うのはやめよう"と。二人はそんな小さな誓いを神に誓った。その様子を見てLUMINOUSのメンバー達は思わず吹き出すのであった。


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