episode67
楽しい沖縄ロケが終り、次はいよいよLUMINOUSの新曲のMV撮影だ。仕事とはいえ、黒川は美幸が他の男と絡むのが面白くないらしく、少しばかり不機嫌だ。美幸がどんなに言ってもいい顔をしない。
「一樹さん、いい加減機嫌なおしてよ。......付き合う前から決まってた事じゃない」
「それはそうだが。自分の物が他に取られるのが気に食わない」
今、二人は黒川のマンションに来ている。初めて来たというのに甘い雰囲気にならない。それがなんだか美幸は面白くない。
「......一樹さんはせっかくの二人っきりだというのに、オレだけの事考えてくれないんですか?」
「!!美幸......」
「もういいです。オレの事信用してないって事ですよね?......帰ります」
「ま!待った!悪い......自分の事ばかり考えすぎていた。子供の様な真似をした。......だから帰るとか言うな」
美幸が帰ろうとリビングのドアノブに手をかけたところで黒川が背後から抱きしめる形で引き留めた。美幸はポロポロと涙を流して、それが止まる事は無い。
「......泣くな。お前に泣かれるとどうしていいか分からなくなる」
「......オレの事信じてくれますか?オレが好きなのは貴方だけだって」
「あぁ。それじゃなきゃ泣きなんかしないもんな。......あいつらがお前の事好きなのは分かっていたから、推しから言い寄られたら拒めないんじゃないかって。勝手に不安になっていた。すまない」
美幸は黒川の腕を解くと、正面から抱きついた。そしてその胸に顔を埋め黒川のシャツを濡らした。そんな美幸の頭を黒川は優しく撫でつける。
「美幸。これだけは分かってくれ。オレがこんなにも心を乱すのはお前を愛しているからだ。それだけは......」
言葉を続けようとしたその口を美幸が自身の口で塞いだ。......そっと触れるだけの優しいキス。それだけでも美幸の愛情が伝わるのには十分であった。
「......オレの気持ち、伝わりました?オレだってあなたを愛してるんです。だからこそ信じてほしい」
「あぁ。信じる......美幸。その......オレも我慢が効く方じゃないから......その、離してくれるか?」
「え?あ。あぁ!ご、ごめんなさい!オレ思わず......!」
「この先に進むのは、この間のドラマが放送されてから、な?」
「そういえば......来週でしたね。ドキドキします」
そんな美幸の額に黒川はキスを落とす。まるで安心しろと言わんばかりに。




