episode59
美幸が黒川と買い物から戻ると。シェアハウスの中はもうすでに出来上がっていた。何がって?酔っ払いがである。
「ちょっと!まだ料理作ってないのに何で先に飲むのさ!」
「いいでしょうー!おめでたい場なんだから文句言わない!さ、早く肉焼いて、つまみを作って」
「......ねえさんもいい加減料理覚えたら?いまだにダークマターつくってるんでしょう?」
「白田さんに愛想つかれちゃうよ?」と美幸が言うと、喜子はぐうの音も出ずにいた。しかし、そんな喜子に助け舟を出したのは渦中の白田であった。
「まぁまぁ、美幸君。僕は構いませんよ?人間誰しも苦手な事があるものです」
「......良かったね、姉さん。白田さんが仏の様な人で」
そう嫌味たっぷりに言う美幸に喜子は「でしょー」と自慢げに言い返してきた。......どうやら今の喜子には嫌味など効かないようだ。美幸はため息をつくと、棚の上からホットプレートを降ろそうとした。しかし、バランスを崩してしまったため、ホットプレートが美幸めがけ落下しそうになった。が、間一髪のところで黒川が落下するのを防いだ。
「び、ビックリした......ありがとうごさいます、黒川さん」
「危ないところでしたね。ケガがなくてよかったです」
黒川はそう言いながら美幸に笑いかけると、美幸は胸がキュンとした。......キュンとすることはLUMINOUSでよくしているのだが、なんだかいつものキュンとは何かが違った。もしかして、不整脈か?などと思っていると、喜子が声をかけて来た。
「ちょっとー、黒川君。ウチの美幸にちょっかいかけないでちょうだい」
「ちょ、ちょっかいなんてかけてませんよ!」
「そー?美幸。黒川君は女を切らせたことのない男なのよ?気をつけなさい」
「社長!適当言わないでください!美幸君!今のは噓ですから!」
「だ、大丈夫ですよ?黒川さんがそんな適当な人じゃないって普段一緒にいるから分かります」
なんだか美幸と黒川の間に良い雰囲気がながれはじめた。それを感じ焦りを感じたのはLUMINOUSのメンバー達だ。彼らは「まさかこんなところにダークホースが?!」と驚きを隠せないでいた。そこで、黙っていないのは翔汰であった。
「おい!肉焼くんだろ?オレが焼いてやる」
その言葉に触発され、他のメンバーも酒を煽るのをやめ、手伝いを始めようとした。が、キッチンはそんなに広くない。大の男が何人も入れるような場所ではない。しかも、彼らは料理をしたことがない。故に足手まといだ。
「皆。気持ちは嬉しい。ありがとう。でも、ぶっちゃけ邪魔だから焼き肉してて」
「......邪魔は言い過ぎじゃね?」
「......お邪魔虫は退散しましょう」
皆、肩を降ろしながらキッチンを後にする。内心は、このまま黒川といい感じになったらどうしようと不安に苛まれるメンバーをよそに、美幸と黒川は和気あいあいと料理をするのであった。




