episode54
「だーかーらー、言っただろう?!ちゃんと話し聞いてなかったんか?!」
「ご、ごめんなさい...。」
シェアハウスに着くなりリビングに正座をさせられ、説教タイムが始まった。普段温厚な晴ですら怒っている様子である。
「で、でも、オレもまさか水島さんが男も相手にするなんて思ってもみなかったし...。」
「でも、前回キスマーク付けられてたじゃありませんか。」
「そ、それ...は...。」
晴から図星を差され美幸はぐうの音も出ない。こういう時、晴は地味に怖かったりする。その怖さに反抗出来ないのはファンだから、ではないだろう。
「いいか?もう二度と、二度と!!あいつと2人きりになるんじゃねえぞ?返事は?!」
「は、はいぃ!!」
「よろしい」と言わんばかりに美幸以外の全員が満足すると、全員から消毒と言わんばかりにキスをされた。
「んン...、ハァ...ちょっとみんなぁ...」
「とろけちゃって可愛いー」
「んァ...」
こんなファンサ、心臓が持ちません!!美幸はそう叫びだしたい気持ちでいっぱいだった。でも、これはファンサではないと、また言われるんだろうな。となると、これがいわゆる"モテ期"というやつであろうか?でもまさか好きなアイドル達から思いを寄せられるなんて、誰が想像できようか。
「ねぇ、たまにはみんなで川の字になって寝ない?」
「ふぇっ?!」
「おもしろそー。よっしーが真ん中ねー。」
そうなると、美幸の両隣をかけたバトルが始まる。いわゆるじゃんけんだ。5人がじゃんけんをするとなかなか決まらない物であるが、最初の一戦で勝敗がついた。美幸の隣を勝ち取ったのは、理と澪里であった。
「当然の結果だな。」
「わーい!ヨシ君の隣―!!」
大の男6人が雑魚寝するなんて暑苦しいにも程があるが、皆大変ご満悦である。
「明日の朝ご飯は玉子焼きが食べたいなぁ。」
「美幸の玉子焼き甘くて美味いんだよな。」
そんな事を話していると美幸はうとうととしてくる。そんな様子を見ていた理と澪里が皆にシーっと合図をすると、じきにスースーという寝息が聞こえてくる。そんな美幸を見て、皆が「おやすみオレらの"お姫様"と呟き眠りへとつくのであった。
夢を見た。LUMINOUSがドームツアーを成功させる夢。ドームいっぱいに観客が溢れかえっていて、とてつもない熱気に包まれている。これが見たかった光景だ。これが正夢になりますように。そう思いながら美幸は目を開けた。




