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推しゴト!!  作者: 朱音小夏


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52/67

episode51

あれから2週間、とうとうドラマの撮影が始まった。物語は、深窓の令息と殺人鬼である事を隠している執事との恋愛ものだ。主人公である深窓の令息"白陽 煌"を美幸が。相手の執事、"黒星 御影"を晶が演じる事になっている。


「MIYUKI君今日からよろしくね。」

「水島さん。よろしくお願いします。」


美幸はLUMINOUSのメンバー達から注意をされていたので、少し晶に対して警戒心を抱いてしまっていた。そんな美幸の様子に、晶は"警戒心の強い猫ちゃんのようだな"と感じた。これはあいつ等に何か言われたな。と晶は察し、静かに様子をうかがう事にした。そしてメイクをし、衣装へと着替えると、スタジオのセットの中に入って行った。美幸はモデルの時とは格段に違う雰囲気に気が押され気味になってしまっていた。しかし、そんな美幸に晶は背中をポンッと叩くと声を投げかけた。


「MIYUKI君。何も心配いらない。オレの動きに合わせて動いてくれれば大丈夫。」

「...水島さん...」

「さぁ。舞台に出て踊ろうじゃないか。」


それからの撮影は流石実力派俳優と言われるだけあった。演技初心者である美幸からいとも簡単に、演技の能力を引き出した。それはもう初心者とは言えないような演技だった。その様子に監督をはじめとしたスタッフは息を飲んで魅入っていた。


「オレを殺しに来たんだろ?なら好都合だ。オレは病や薬に蝕まれて死ぬくらいならお前のお気に入りのナイフの錆となりたい。」

「...確かに最初は貴方を殺すためにこの屋敷へと来ました。白い薔薇を死体に置いたのも、貴方の白く美しい身体の身代わりです。あなたの血は余程美しいのだろうと夢見ながら貴方に仕えてきました。ですが、貴方と過ごしていくうちに私は変わってしまった!!殺しに快感を覚えなくなった!!弱っていく貴方を見て生きていてほしいと願うようになってしまった!貴方を独りぼっちにして私だけの物にしたかった...!!愛してしまった、こんなにも!!」


緊迫とした空気に誰もかが緊張をした。


「御影。愛してるからこそ最期をお前の手で迎えたい。だから...お願いだ。オレの最後の記憶をお前で終わらせてくれ。」


最後のセリフで美幸は息絶えた死体の役に入る。動かない演技にはモデルで慣れている。その死体の美しさに、誰もかが見惚れてしまった。そして、最後のシーンを撮り終えると、皆が感動していた。


「いやぁ、2人共。いい演技だったよ!特にMIYUKI君!初めての演技だとは思えないぐらいだったよ。」

「水島さんの誘導のお陰です。ありがとうございました、水島さん。」

「オレは何もしていないよ。全部MIYUKI君の実力さ。」


そうして、撮影は無事終えることができ、これから打ち上げとなる。晶は"その後が楽しみだ"とほくそ笑んだのであった。


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