episode47
黒川の運転する車に揺られながらスーパーへと向かう美幸。その顔は愁いを帯びている。無理もない。あんな事があった後だ。
「美幸さん、大丈夫ですか?」
「え?何が?」
...どうやら違うようだ。なら何なんだろう?黒川は気になってしまった。タレントの事を知るのもマネージャーの仕事だ。これは聞かねば。
「なんだか元気がないようですがどうしました?私でよければ話し聞きますよ?」
「黒川さん...。いえ、何と言いますか...。黒川さん、同じ男から言い寄られたらどうします?」
「...はい?」
創造の斜め上をいく返答に黒川は混乱した。なんだなんだ?一体何があったんだ?
「まさかとは思いますが...、LUMINOUSのメンバーから言い寄られてたりとか...?」
「...。」
「マジですか。で、でも全員からではありませんよね?」
「...。」
もう言葉が見つからない。まさかのとんでもないスキャンダルだぞ、これは。大型新人モデルとトップ人気アイドルグループの組み合わせは週刊誌も黙っていないだろう。バレてはいけないネタだ。
「で、でも皆普通に過ごしているので!大丈夫です、多分。」
芸能界に入って間もない美幸に苦労をかけるとは、何をやっているんだ。このままシェアハウスでの同居をしていて大丈夫なのだろうか...。まぁ、男同士だ。下手な真似しなければ大丈夫だろうが。だが、彼らの事だ。周りの目を気にすることなくアピールするだろう。
「...まぁ、大変かもしれませんが、何かあったらすぐに相談してくださいね?」
「ありがとうございます。あ、今日そこのスーパーによってもらえますか?玉子と牛乳が特売なんですよ。」
「分かりました。」
そうして黒川は言われた通りスーパーへと入って行った。車を停めると、美幸は待っていていいと言ったが、荷物持ちが必要でしょう?と言うと黒川は無理矢理ついていった。店内に入り、食材を見て回っていると、なんだか視線が感じる。すると、1人の中学生くらいの少女が近寄ってきた。
「あ、あの、もしかしてMIYUKIさんですか?」
「?うん。そうだよ?」
「わ、わたし、駅前の広告見てからファンになっちゃて!よ、よかったら握手してもらえませんか?!」
「もちろん。ありがとう。これからも応援してくれると嬉しいな。」
「は、はいぃ!全力で推していきます!!」
そう言うと少女はぺこりと礼をして去って行った。。
「...オレもサインとか持っといた方がいいですかね?」
「あった方がこれから役に立つと思いますよ?...それにしても良かったですね。ファンが着実についてきていますよ。」
そう言うと美幸は照れ臭そうに顔を赤くした。...確かにこれは男も惹きつけるな。と感想を持った黒川なのであった。だが、スキャンダルだけは回避してほしいと願うばかりだ。




