episode44
黒川は事の顛末を喜子に電話すると、急いで事務所へと戻ってくるように言われた。
「MIYUKI、車に乗ってください。社長がかなり心配してお待ちです。それに、衣服が引き裂かれているんですから早く着替えないと...。」
「分かりました。...黒川さん。すみません。」
「MIYUKIが謝るような事は何もありませんよ。こちらこそ、1人にしてしまってすみません。」
美幸と黒川は車に乗り込むと、法定速度を守りながらもマッハで事務所へと向かった。事務所に着くなり、美幸は喜子に抱き着かれると言う熱烈な歓迎をされた。
「もう!心配かけて...!!服ビリビリじゃない!黒川君、どうしてこんなことに...?」
「それが...、物難しいカメラマンに気に入られたのと、MIYUKIの番になった途端ざわつきが大きくなりまして、人を惹きつけ始めたのが面白くなかったのかと。」
「姉さん、もう終わった事だし、オレも気にしてな...」
「何言ってるの!これは潰さないと気が済まないわ。黒川君、相手のモデルについては?」
「もちろん、把握済みです。いつでも報復出来ますよ。」
...なんだか物騒な話しになっている。だが美幸に止める術はない。もう、喜子の好きにさせよう。そう思う美幸であった。こんなところ、LUMINOUSの皆に見られなくてよかった...。そう思っている時だった。噂をすればなんとやら。皆が事務所に現れたのだ。
「ふぃー...。お疲れ様でー...す...?って、美幸なんだよその恰好?!」
「あ...これは...その...。」
「ビリビリじゃん!ヨシ君ケガは?!ケガはない?!」
...ほら見た事か。自分で言うのもあれだが、惚れた相手がこんな格好でいると黙ってはおけないようだ。
「黒川、何があった?」
「美幸さんの許可がない限り私の口からは申し上げられません。」
「...よっちゃん。」
「大したことないよ。未遂で終わったわけだし。」
美幸はそう言ってはぐらかそうとしたが、皆はそうはいかなかった。はぐらかされてはくれなかった。
「正直に言ってください、美幸君。貴女が心配なのです。」
「...撮影の時に嫉妬されて...その、レイプ?されかけました...。」
美幸の言葉にその場が絶対零度になった。皆わなわなと震えている。
「ち...」
「ち?」
「血祭じゃー!!オレらの美幸に手ぇ出しやがって!許さねぇ!!」
「ちょ、ちょっと落ち着いて!もう警察に受け渡された後だと思うし!姉さんも!鉄バット何処から出したのさ!しまってしまって!!」
事務所は騒々しくなり誰も彼らを止められない。美幸が参っていると、事務所にとある人物が現れた。
「ちょっとちょっと、なんなのよこの有様は。折角良い話を持って来たって言うのに。」
「...森さん?」
そう、現れたのは"virtus"の森であった。
「よっちゃん、今日は仕事の依頼でこっちに来させてもらったわ。そこにいるボーイ達もよ。」
「"たち"?」
「今度の広告で、LUMINOUSとMIYUKIに出てもらいたいのよ。」
思ってもみなかった共演話に皆が落ち着きを取り戻したのは言うまでもない。




