episode42
「さて、美幸さん。今日は雑誌の撮影が入っています。前の調子でいけば全然余裕ですので気張っていきましょう。」
マネージャーである黒川から言われると少しばかり緊張していたものがほどけてくる。美幸は車内で"MIYUKI"スイッチに切り替えると、途端車内の空気も変わった。黒川は、「MIYUKIになったか。」と呟くと、これなら今日も心配いらないな。と思うのであった。
「MIYUKI、今日は変なモデルはいませんが、暴れてくれて構いませんからね?」
「もちろん。オレ、もう怖いものなしですよ。でも、目の前の仕事に真摯に取り組むだけです。」
もう心配することは何もないか。と黒川は安心を覚えた。撮影スタジオに着くと、早速美幸はヘアメイクをされ衣装はと袖を通した。怖かったコンタクトも今では平気になってきている。今回のメインは"ファッション"なので、いかに服を引き立たせられるかが問われてくる。カメラマンは如何にもベテランです。と言わんばかりの雰囲気を醸し出しているので、美幸のことをどこか"新人だから"とバカにしたような見方をしている。黒川はこれは面白いものが見れそうだ。と内心ワクワクしていた。
「それでは、撮影開始しまーす。」
アシスタントの声を皮切りにモデル達がどんどんと撮影をこなしていくが...、やはり一癖あるカメラマンの様で1人1人にかかる時間がとても長い。それに、ちょっとしたことで撮りなおしもざらにあった。そんな中とうとう美幸の番になった。
「おうおう。うわさの新人様じゃないか。あのカメラマン相手にどう出るかお手並み拝見といきますか。」
...どうやら他のモデル達も舐めてかかっているようだ。それならMIYUKIの実力をいかんなく発揮してみせようじゃないか。美幸はカメラマンの前に立つと自分の思う通りに動いていく。それに魅了されるようにかめらまんのシャッターを切る手は止まらない。舐めくさっていた他のモデル達もざわざわとしていて落ち着きがなくなっていた。そして一通り撮り終えると、本日の撮影は終了となった。が、帰ろうとした美幸の元に例のカメラマンがやって来た。
「いやぁ、参ったよ。MIYUKI君。こんなに写真を撮って被写体に夢中になったのは久々だったよ。ありがとう。」
「いえ。こちらこそ、いい勉強になりました。また機会があれば是非ご一緒させてください。」
「ハハッ。もちろんだよ。」
そう言うと2人は握手を交わした。カメラマンが去って行ったのを見届けると、美幸は黒川に「意外と気さくな人でしたね。」と感想を述べた。そして黒川が「車を回してきます。」と言ってその場を離れた時だった。美幸の事を面白くないという目で見ていたモデル数名が近づいてきて、美幸の口を塞ぎ気絶させ攫っていった。




