episode38
聖以外のメンバーは、美幸と聖のキスシーンを見てビックリしたのと同時に、なんだかもやりとしたものを感じた。いちはやく立ち直ったのは理だった。
「聖がいいなら、オレがしても...構わないな?」
「...え?」
そう言うと、理は美幸を壁際に追いやって壁ドンをしてきた。美幸は心の中で「さ、理さんの壁ドンだー!!」と表には出さないではしゃいでいたが、次の瞬間、今度は顎クイをして目線を自分に向けさせた。そして静にキスをしてきた。唇を重ねた後、理は美幸の唇をべろりと舐め、満足げに美幸を抱きしめた。
「他の奴には渡したくない...。いいから黙ってオレの物になれ。」
「さ、理さん?え、冗談...?」
「冗談なんて心外だ。はじめて出会った時からお前だけを思っている。」
...もう頭がパンクしそうだ。この2人に想われるような事をしてきただろうか...?
「理さん?オレ、貴方に何か想ってもらえるような事しましたか...?」
「覚えてないのも無理がない。あの時はまだ子供だったからな。小学生の時、公園で揶揄われていた所を助けてくれたのはお前だった。その後しばらく公園で会うようになったが、オレの親の転勤で会うことがなくなってしまった。」
「...もしかして、さっ君?」
...覚えている。忘れもしない。急に会えなくなったのを寂しく思っていたのだから。でも、記憶にあるさっ君とは随分と雰囲気が変わっていて気がつかなかった。
「お前にまた会いたくて、見つけてほしくてアイドルになった。...でも、お前はオレの事を忘れているようだったし...。」
「ご、ごめん!!忘れてたわけじゃないんだ!...あまりにも記憶の中のさっ君と別人だったから...。」
「それは...お前に見合う男になれるように鍛えたからな。」
「お前のため」そう言われて喜べないわけがない。最高のファンサだ。
「でも、よくオレだって気がついたね?名前だってお互いあだ名で呼んでたのに...。」
そうだ。美幸は理の事を"さっ君"と呼んで、理は美幸の事を"よっちゃん"と呼んでいたのだ。けれど、理はどうして美幸の事に気がついたのだろうか?あの頃はまだメガネも何していなっかった。だから、謎で仕方がない。
「...さっ君はどうしてオレに気づいたの?」
そんな疑問に理は満面の笑みを浮かべ、「当たり前だろう?」と言った。
「初恋の相手を忘れる事なんて、オレには出来なかったからな。」
「は、初恋?!」
理はそう言うと、再び美幸の顎をすくい上げ、
「もうこれからは遠慮しない。全力で落としにいかせてもらう。」
そう言うと壊れ物を扱うように、そっとキスをしてきた。




