episode34
スタジオの中に入るとスタッフ達が忙しなく動いている。美幸は黒川に促され、椅子に座って水を飲んでいる人物に挨拶をしに行った。
「初めまして。本日見学させていただきます、persicumのMIYUKIといいます。よろしくお願いします。」
美幸はそう言うと笑顔を向けて見せた。しかし、その人物は美幸を上から下まで値踏みするように見ると、「ハッ」と笑ったのである。
「LUMINOUSも大概大した事ねぇけど、モデルもレベルが低いんだな。どう見てもモブ顔じゃねぇか。こんなんがモデル名乗れんなら誰でもなれるわ。」
「は?LUMINOUSが大した事ない」だと?美幸は思わずピキッた。彼らの努力をバカにされたような気がして。
「あの、挨拶をされたらきちんと返すのが礼儀というものじゃありませんか?あぁ、貴方はまだ子供のようですもんね。大人の世界の常識は分かりませんか。すみません。」
「あぁ?オレ様よりチビの癖して何偉そうに言ってんだよ。それにオレは先輩だぞ?それこそ非常識じゃあねぇの?」
「...所詮顔だけのくせして。」
美幸はキレていた。思った事がつい口から零れてしまうくらいに。
「オレ様が顔だけだと?言ったな?なら今日オレ様の撮影をしっかりと目に焼きつけろよ?終わる頃には"ごめんなさい"を言わせてやるよ。」
「そう言えば貴方の名前を聞いていませんでした。」
「は?知らずに来たのかよ。...耳の穴かっぽじって聞けよ?」
そう言うと水の減ったペットボトルを机に置いて立ち上がり、美幸に目を向けた。
「オレ様の名前は"GRAY"。しっかり覚えておくんだな。」
そう言うと彼、GRAYはスポットライトの元へ足を踏み入れた。
「MIYUKI...挑発してどうするんですか。」
「LUMINOUSをバカにしたんです。許せるはずがありません。」
「ですが、それで彼に火をつけて...」
黒川は美幸に飽きれた様子を見せた。しかし美幸もこればかりは譲れない。そうしていると、撮影が始まった。しばらく静かに見学をしていた美幸だったが...何かが物足りない。翔汰との撮影は燃えるような気持ちになったのに。
「所詮口だけのお子様、か...。」
「MIYUKI?」
「あぁ、いえ。すみません。...彼つまらないなと思って。」
「...一応人気モデルなんですよ?」
黒川の言葉に美幸は「フハッ」と笑った。そして不敵な笑みを浮かべてこう言った。
「今からでもこの撮影に参加させて貰えませんか?」




