episode30
「それで?今日の撮影はどうでしたか?」
「素人とは思えない出来栄えだったぜ?な、美幸!」
「...美幸君に聞いたのに何故翔汰が答えるんですか?」
買ってきたケーキを食べながら話していると、晴と翔汰はバチバチと火花を散らし始めた。その様子を他所に澪里が「ヨシ君イチゴあげるー!あーん!」と言ってきたので美幸はありがたくいただくことにした。
「おい!何イチャイチャしてやがる!イチゴが食べたきゃオレがやるのに!」
「そうですよ、澪里!抜け駆けは禁止と言い出したのは貴方でしょう!」
「..."抜け駆け"?」
"抜け駆け"とはなんだろう、そう思った美幸が聞く前に、「早い者勝ちだよー!」と澪里が美幸に抱きついてきた。そして「ケーキ美味しいねぇ!」と美幸に頬づりをし始めた。
「わっ!ヨシ君お肌すべすべ!手入れどうしてるの?」
「い、いえ。特別な事は何も...」
「美幸は昔からハトムギ愛用よ。」
「まさかのプチプラ!やっぱり食生活もあるのかなぁ...?」
「ヨシ君の料理、栄養バランス良いし。」そう褒められると美幸は照れくさくなってしまう。自分としては当たり前の事をしているだけだからだ。それがこんなに評価してもらえるなんて...。作った甲斐があるものだ。
「そーだ。よっしー最近ログインしてないよねー?」
「あ...忙しくて夜も爆睡してました...」
「じゃー、今日クエスト行こーよ!そろそろ新しい武器作りたいし!」
聖からのゲームの誘いに美幸は嬉しくなって、「分かりました!是非ご一緒させて下さい!」と言った。すると、聖は少し黙って何かを考えているようだった。
「?聖さん?」
「よっしーさぁ、いつも敬語じゃん?もういいと思うんだよねー。」
「名前も"さん"付けだし。」そう聖が言うと、他のメンバーも「そうだ!」と気がつくのだった。
「い、いえ、それは一応雇われてる身ですし...。お名前も流石に呼び捨ては恐れ多いと言いますか...」
「じゃー、名前は"さん"付けでも良いから敬語はとってよー。」
「そーだぞ!敬語とか距離感じて寂しいじゃんか!」
「は、晴さんだって敬語じゃないですか!」
「晴のはキャラだからいいんだよ。」と真顔で言われてしまって、美幸は後がない状態だった。
「わ、分かった...。敬語は無くす...努力する。」
「これで良い?」と無意識な上目遣いで尋ねると、全員が全員、「無自覚怖い」と思うのだった。




