episode1
美幸は絶望の縁に立っていた。模試でもA判定だったし、家族や教師からも期待されていたのに。なのに無いのだ。合格発表の掲示板に美幸の番号が。美幸は目の前が真っ暗になったかのようになり、どうやって家まで帰ってきたか分からない。気がつけば自室のベッドの上で天井を見つめていた。
「ハァ...。何のために頑張って来たんだろう...。」
「もう頑張りたくない。」そう言って美幸は目を閉じた。そうして1日、2日、1週間...。必要以上部屋からは出ず、高校の卒業式にも参加しなかった。美幸は言わば"ヒキニート"と化してしまっていた。今日も今日とて"LUMINOUS"の曲を流しながらPCゲームをしていた。美幸の部屋はLUMINOUSのCDやポスター、アクスタなどで溢れかえっていた。
「ヨッシャー!クエストクリア、アメジストさんありがとう!」
「いいよー。いつもオレのがお世話になってっし。クンツァイト君まだ時間大丈夫ー?」
「だい...」
"アメジスト"と呼んだ相手から時間を問われ、「大丈夫」と応えようとしたその時だった。部屋の扉がコンコンと叩かれたのだった。
「ごめん!家族が呼んでるから今日は落ちるね!もしかしたらスマホでログインするかもだけど...。」
「わかったー。じゃーねー。」
ボイスチャットをオフにすると同時に扉がバーンと開かれた。
「美幸!いつまでこんな生活送るつもりなの!ゲームばっかりして!父さんと母さんに心配かけないように...」
「うっさい!そもそも、皆がプレッシャーかけるから...!!」
美幸がそう叫ぶと、姉の喜子は一瞬悲しそうな顔をした。それに気がつき、美幸は「...ごめん。」と呟いた。
「私の方こそごめんなさい。でもね、貴方が心配なのは本当なのよ?ご飯だって一緒に食べてるけど会話してくれないし、すぐに部屋に籠っちゃうんだもの。」
「...オレも引くに引けなくて...。バイトも考えたけど不安で...。そうしているうちにどんどん日だけが過ぎていくんだ...。」
そう口にすると知らず知らずに涙が流れてきた。「大学に落ちたのが本当に申し訳なくって...。」と言うと喜子は美幸を優しく抱きしめた。
「ねぇ。今も流してるくらいだからLUMINOUSのことはまだ好きなのよね?」
「当たり前だよ!姉さんが期待を込めて頑張って育ててきたグループだよ?オレ、小箱だった時に箱推しし続けるって誓ったんだよ?」
「...この部屋を見れば分かるわ。貴方がここまで応援してくれてて渡しとっても嬉しいの。だからね、私から1つ提案。」
喜子は美幸の両手を包み込むと、
「LUMINOUSの私生活のお世話、してみない?」
そう問うてきたのだった。




