episode2
「お世話って何?」
「美幸、家事得意でしょう?あの子達、生活力皆無だからお世話してほしいのよ。」
「...そう言う業者に頼めば良いんじゃないの?」
「それも考えたんだけど...。あまりアイドルの私生活を一般人に見せたくないのよ。」
「オレも一般人ですけど?!」
美幸の言葉に喜子は「まぁまぁ」と言い、「でもあの子達と会ったことあるでしょ?」と続けた。
「会ったって言ってもオレの事なんて覚えてないだろうし、オレはただの一ファンだよ?逆に迷惑だって。」
「...仕方ない。これは言わないでって言われたんだけど...。」
「?」
「あの子達、また貴方に会いたいって前々から言っていたのよ。だからお願い!貴方もこのままでいるよりはいいと思うのよ!」
たしかに、いつまでもニートをしている訳にはいかない。でも社会復帰がアイドルのお世話だなんてハードルが高すぎる...!!そう考えていると、美幸の心を読んだかのように喜子が猛烈に説得をしてきた。
「滅多に経験出来る事じゃないのよ!それにこの話しをのんでくれれば、ウチのプロダクションの一社員として迎え入れるわ!...住み込みだから家から出る事にはなるけれど...。私もたまに様子を見に行くし!」
「女性には頼めないし、火事の出来る男性なかなかいないのよ!」と言われてしまえば断りずらい。美幸は「ハァ」とため息をつくと、喜子の手を握り返し、「分かったよ。」と返事をした。
「ホント?!」
「ホント。だって姉さん、オレがやるって言うまで絶対折れないでしょう?」
「勿論よ!さて、そうと決まれば色々と準備しなくちゃね!」
「準備って荷造り?オレ、そんなに荷物無いから...」
「何言ってるの!まずはそのだらしない髪を切りに行くのよ!」
喜子はそう言うと、「私達の行きつけの美容室に連れて行ってあげる!」と美幸の手を引いて部屋を出ようとした。
「いやいや!髪の毛なんて別に今のままでも困らないでしょう?!」
「昔、翔汰に"もっさい"って言われたの、私覚えてるんだからね?長さは変えなくてもいいけど、せめてすいて整えるくらいしなくちゃ。ね?」
喜子はやると言えばやる人間である。美幸はため息をつくと、「分かったから着替えくらいはさせて。」と言って喜子を部屋の外へと追いやった。
「まったく...。姉さんは強引なんだから...。それにしてもLUMINOUSと、推しと同居なんて...。緊張するだろう...。」
「陰キャのオレに務まるとは思えない」そう呟きながら着替えていると、部屋の外から「ねぇー、まだぁ?」と言う声が聞こえてきた。
「ハイハイ。今出ますよ。」
「...貴方って一見無頓着に見えて、実はファッションセンスはあるのよね...。」
「...何?何か文句でもあるの?」
「いいえ?褒めてるのよ。」
「さぁ!行きましょう!」と美幸と対照的に期待に胸を膨らませる喜子であった。




