prologue
彼らを初めて見たのは高校生の頃。芸能プロダクションを営む姉に、バイトスタッフとして連れられて行ったライブであった。まだ小さな箱ではあったが、ステージ上で歌い踊る彼らはキラキラと輝いて見えた。
「凄い......。キラキラしてる......」
「まだまだ駆け出しだけどね。伸びるわよ、あの子達。」
「将来はドーム公演も夢じゃないわ」そう言う姉にオレは小さく頷いた。
「オレ、このグループ好きだな......」
「あら。貴方も見る目があるわね。流石私の弟。あの子達は世の中の"光"になってほしいのよ。だから、"LUMINOUS"と名付けたわ」
「ルミナス......。ラテン語が語源で、英語で"光る"、"輝く"だね」
「よく知ってるじゃない」
姉はそう言うとオレの頭をくしゃりと撫でた。子供の頃から姉はオレを褒める時、こうして頭を撫でる癖があった。オレは恥ずかしくもそんな姉の愛情表現が好きだった。
「そう言えば受験勉強は進んでいるの?」
「ボチボチ、かな?でも模試はA判定だったよ」
「んー!私の弟は頭が良いわね!それになんでも出来ちゃう!お姉ちゃん鼻が高いわぁ!」
「ちょ、抱きつくのはやめてよ!ホラ、LUMINOUSの出番終わったよ?」
オレはドリンクとタオルの入った袋を持って姉と一緒に彼らがステージ袖にやって来るのを待った。そして彼らがステージから下がって来ると、オレは一人一人にドリンクとタオルを手渡していった。
「ありがとうございます。あれ?初めて見る顔ですね?」
「あ?ホントだ。なんだこのちんちくりん」
「ち、ちんちくりん?!」
「こらこら。私の可愛い弟になんてこと言うの」
「社長!......社長の弟さんなんですか?」
「そうよ?こう見えて高校3年生なんだからね!」
「......姉さん。こう見えてって何?初めまして。桃瀬 美幸です」
「よっしーかぁ。オレとタメじゃん」
「こら、聖。そう言ったあだ名は初対面の人にするものではありませんよ?」
......キラキラだ......。王子様が5人もいる。オレはその眩しさに目が眩みそうになった。
「お前髪邪魔じゃね?メガネももっさいし。取れよ」
「あ!ちょっと!」
「翔汰!ウチの美幸に何するの!」
「だってこんなオタク......ぽ、い......」
先程オレを"ちんちくりん"呼ばわりした"翔汰"と呼ばれたメンバーはオレのメガネを奪い前髪を上げると固まった。
「ちょ、社長!なんでコイツこんな勿体ない格好してるんだよ!」
「......ハァ......。この子、子供の頃から変なのに絡まれるから自衛としてわざとこう言う格好しているのよ」
「悪い......。その、美幸」
「いえ、大丈夫です。えっと......」
「翔汰。赤羽 翔汰だ。それでコイツがーー」
翔汰からLUMINOUSのメンバーを紹介してもらい、オレはライブに感動したという思いを伝えた。すると彼らは笑顔で「ありがとう」とお礼を言ってくれた。その眩しい笑顔に、先程のライブの光景が蘇ってきて、オレは決めた。彼らの、"LUMINOUS"の箱推しになろう、と。




