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推しゴト!!  作者: 朱音小夏


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episode17

事務所でのミーティングが終わり、ダンスレッスン前に美幸から持たされた弁当を広げた。そこには色とりどりのおかずとおにぎりが入っていた。これだけ手の込んだ弁当を作るなんて、頭が上がらないな。と晴は思った。これは味わって食べなくては。と思っている晴の横で、ガツガツとかき込むように食べている翔汰の姿があった。


「翔汰。もう少し落ち着いて食べる事は出来ないのですか?」

「ア?美味いもんを美味いって食ってるんだ。何が悪いか?」

「...食べ方の問題なのですが...。」

「そうだよショウ君。ヨシ君が丹精込めて作ってくれたお弁当をあまり雑に食べないでよね?」

「...しゃーねぇな。分かったよ...。」


晴と澪里の2人に責められては翔汰も聞かざるを得ない。理と聖も口には出さなかったが、目で「落ち着いて食えないのか」と訴えていた。翔汰は縮こまるしかなかった。そんな翔汰の弁当箱から玉子焼きが一切れ姿を消した。翔汰が「アァ?!」と振り向くと、口をもぐもぐと動かす喜子の姿があった。


「んー!流石美幸の玉子焼き。甘さが丁度いいわ。」

「社長!オレの玉子焼き!」

「あら。味わっているように見えなかったから代わりに食べてあげたのよ?感謝なさい。」


翔汰は「ぐぬぬ」と身じろぐと今度は静かに弁当に箸をつけ始めた。それを見た喜子は「よろしい」と言わんばかりに腕を組み、今度は乱暴な食べ方をしないように目を光らせていた。そうしている時、喜子のスマホに連絡が入った。


「はい。黒川君?そっちはどう?引っ越しは順調かしら?」


どうやら通話の相手は黒川らしかった。5人が「引っ越し?」と思っていると白田が「美幸君の事ですよ。」と伝えてきた。


「引っ越しは済んでいなかったのか?」

「急な事だったので数日分の荷物しか持ってきていなかったんですよ。だから黒川君が美幸君の引っ越しの手伝いに駆り出されたんです。」

「なるほどー。たしかに荷物少なかったもんねー。」

「でも、そんな黒川さんからなんで連絡が入ったんでしょう?何かあったんですかね?」


5人と白田がそんな会話をしていると、急に喜子が「え?!」と大声を上げた。


「黒川君!よくやった!!貴方に行かせて正解だったわ。まさかあの子が了承してくれるなんて...!!」


喜子がとても喜んでいるのを見て「なんだなんだ?」「何があった?」と疑問の声が上がった。喜子は「また後で話しを詰めましょう。」と言って通話を切った。そして翔汰に目をやると、


「翔汰、喜びなさい。貴方のモデルの相手役が決まったわ。」


と言って「ふっふっふ」と怪しげな笑みを浮かべた。そして「な・ん・と!」と言葉を続けた。


「美幸がやってくれる事になりましたぁー!!」


「喜びなさい!」と翔汰の背中をバシバシと叩いた。翔汰は「マジで?」と箸で持ち上げた唐揚げをポトリと落としたのだった。

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