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追放された第三王子は、統治スキル【国家盤面】で 腐った領地を数値で立て直す ~前世は「死神」と呼ばれた再建コンサルタント~  作者: 四角いりんご
第3章:大砲の次は「ビジネス」で国を獲る。第4区の事業再生と、王宮を追い詰める見えない包囲網

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閑話:情報局長ヤンダルの世界情勢レポート

第2バール、ヤンダル新聞社・地下特別室。

 輪転機が回る低い重低音が響く中、情報局長であるヤンダルは、各地の諜報員(記者)から上がってきた分厚い書類の束に目を通していた。


領主であったルイが姿を消し、お忍びで第4区へ向かってから数ヶ月。

 表面上はバールの幹部たちが街を回しているが、裏の世界の情報を統括し、ルイの「目」と「耳」として世界情勢を監視し続けるのがヤンダルの役目だ。


「……さて。世界は相変わらず、キナ臭く回っているな」


ヤンダルは細い煙草に火をつけ、ルイへと送るための『極秘報告書』の筆を執った。


【ヤンダル特務報告書:現世界情勢の分析】


◆王都の動向と、王位継承問題

 王都は現在、急激に力をつけた我が第2区への『警戒心』を露わにしている。情報を辿ると、どうやら王都の上層部は裏で「竜人国」と密かな会談を重ねているようだ。サクレアの防壁を粉砕した我が軍事力に対抗するため、竜人国と手を結ぶ腹積もりかもしれない。

 また、王宮内部では二人の王子の対立が決着しつつある。地方自治を重んじる穏健派の『第二王子』は実質的な左遷として第3区へ追放された。これにより、中央集権と軍事国家化を推し進める強硬派の『第一王子ウィリアム』が実権を握ることになる。彼が我が第2区に対してどのような強硬策に出てくるか、今後の動向には細心の注意が必要だ。


◆第1区との協働関係と、その経済的余波

 我が第2区は現在、第1区と強力な協働関係を結び、両区を繋ぐ『鉄道』などのインフラ整備を急速に進めている。(建設作業はすべて我が第2区の土木局が独占受注)。

 結果として、第1区から莫大な建設資金が我が区へと流れ込み続けている。だがその余波で、第1区自身の財政は若干の悪化傾向にある。地方のインフラ整備や定期的な見回り、さらには近年計画されていた「北の第6要塞」の建設プロジェクトが凍結される可能性が高い。これは、要塞建設を受注する予定だった『王都の巨大建設会社』に大打撃を与えることになる。経済的な観点から見ても、王都と第1区の間に亀裂が生じ始めていると言えるだろう。


◆隣国「混合王国」の政変

 3つの種族(人類、海龍族、獣人族)の代表である3名の王が治める隣国「混合王国」にて、政変が起きた。『人類の王』が新たな人物へと交代したのだ。

 新王の方針により、あちらの国で「人間の立場」が向上する兆しが見える。これは、人間中心の国家である我々にとって外交的立場が有利になる可能性を秘めている。だが同時に、他種族(海龍族・獣人族)との内部対立が激化し、内戦が勃発すれば、隣接する王都や第4区への重大なリスクに直結する。


◆北の「獣人国」の動向

 現状、警戒レベルは低い。本格的な冬の到来により、一部の種族が冬眠期に入ったため、軍事的な侵攻の気配は全くない。春までは北方の憂いは無用と判断する。


◆第4区の「異常な」急発展について

 ルイ様が潜入されている第4区において、数ヶ月前から急激な経済発展が観測されている。特に『繊維産業』が爆発的に成長しており、我が区のモネ局長も軍服の買い付けを決定した。

 一方で、裏社会で力を持っていた『ムラニ商店』の動きが極めて不自然だ。


◆特記事項:「勇者召喚の儀」の準備

 最後に。王都にて、数年に一度の忌まわしきシステム『勇者召喚の儀』に向けた準備が、例年よりも不気味なほど早いペースで進められているとの情報を掴んだ。ウィリアム王子の台頭、竜人国との密約、そしてこの儀式の準備。これらが一つの線で繋がっているとすれば、非常に厄介な事態が引き起こされる可能性がある。


ヤンダルは報告書を書き終えると、ペンを置き、深く紫煙を吐き出した。


「盤面の駒が、一斉に動き出そうとしているな」


第二王子の左遷により王都のタガが外れ、巨大なマフィアや隣国が蠢く中、ルイは自ら一番危険な紛争地帯(第4区の最前線)へと足を踏み入れようとしている。

 だが、ヤンダルの瞳に悲観の色はなかった。


「……まぁ、あの方なら、すべてを計算通りにひっくり返してくださるだろうがな」


ヤンダルは報告書を厳重に封印し、信頼できる早馬の伝令を呼び出した。

 遠く離れた荒野の街にいる黒髪の主に、この世界の「真実のピース」を届けるために。





【後書き】


お読みいただきありがとうございます!


今回は閑話として、情報局長ヤンダル視点での世界情勢のまとめをお届けしました。

ルイが第4区で奮闘している裏で、世界(盤面)は刻一刻と形を変えています。


・実権を握った軍事国家推しの「第一王子ウィリアム」。

・第2区に資金を吸い取られる第1区と、割を食った王都の建設会社。

・混合王国の新体制。

・そして、不気味に準備が進む「勇者召喚の儀」。


これらの情報が、今後のルイのコンサルティングや、世界の真実にどう繋がっていくのか……。

次回からはいよいよ、第4区の最前線(紛争地帯)へと舞台を移します!


「世界情勢が繋がってきた!」「ヤンダルの有能さ、頼もしい!」と思っていただけましたら、

ページ下部にある『☆☆☆☆☆』から、評価ポイントを入れて応援していただけると、執筆の大きな励みになります!


次回は本編に戻り、ルイがいよいよ紛争地帯の視察へと向かいます!


次回は15日金曜日19時更新です!

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