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追放された第三王子は、統治スキル【国家盤面】で 腐った領地を数値で立て直す ~前世は「死神」と呼ばれた再建コンサルタント~  作者: 四角いりんご
第3章:大砲の次は「ビジネス」で国を獲る。第4区の事業再生と、王宮を追い詰める見えない包囲網

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閑話:宰相マティアスの期末報告書(バール領・第4期総括)

本日からいよいよ第3章です!その前に今までのおさらいです!!



領主館の最上階。かつてルイ様が座っていた執務デスクで、私は山積みになった書類にペンを走らせていた。

 彼が「引退」を宣言し、この街から姿を消して数週間。バールの行政が完全に停止してしまうのではないかという私の危惧は、良い意味で裏切られていた。


彼が組み上げた『英雄エリートがいなくても回るシステム』は、完璧に機能している。私は宰相として、王都を含む周辺諸国へ向けた(あるいは自分自身の頭を整理するための)定期報告書を書き上げた。


【都市バール:最新ステータス(第4期末)】


総人口:約6万6000人(うち正規軍6300名)


推移:長らく爆発的な人口増加が続いていたが、ここ数ヶ月は微減。王宮から「特定敵対勢力」に指定されたことで、戦争を恐れた一部の層が流出したため。だが、残ったのはバールに骨を埋める覚悟のある強固な労働層と知識層のみであり、実質的な生産力はむしろ向上している。


財政状況:黒字(大幅な剰余金あり)


内訳:関税、商業税に加え、第1区からの莫大な『鉄道建設費』の流入が財政を強固に支えている。


主要特産品:砂糖菓子、レンガ、ゴム製品、製鉄、鉄工業、武器製造(銃器・大砲)、出版物


軍事力:Aマイナス


分析:周辺国とは数世紀レベルの技術格差テクノロジー・ギャップがあるが、絶対的な動員数では依然として劣るため、総合評価はA−とする。


危険度:A


分析:王都からの明白な敵視状態。物理的な侵攻は当面ないと推測されるが、経済・情報網での警戒は最高レベルを維持。



「……文字に起こすと、改めてとんでもない街ですね」


私は淹れたてのサクレア産コーヒーを口に運び、この数年間で実行された政策のリストを見返した。


1.軍事と安全保障の抜本的改革

 サクレアとの戦争における圧倒的な勝利は、大陸のパワーバランスを完全に破壊した。軍事局長のサラは現在、自軍の強化だけでなく、同盟国である第1区の軍事アドバイザーとしても活動を始めている。

 軍の規模拡大にあたっては、第4区(傭兵国家)からの人材引き入れや、第1区からの大型冒険者パーティの高給引き抜きを敢行。さらに、古代遺跡から発掘された技術を解析し、銃や軍事物資の量産体制を確立した。

 また、以前の「暗殺未遂事件」を教訓とし、都市の防壁を強化。同時に、ラナ川沿いに『商業自由区』を設置することで、人の流れをコントロールしつつ警備体制を飛躍的に向上させた。


2.都市インフラと工業の爆発的進化

 石炭の発見を契機とした工場区の拡大は留まることを知らない。製鉄から軍需品まで、バールの工業力は他国の追随を許さないレベルに達した。

 懸念されていた大気汚染スモッグ問題も、集塵装置の導入などで解決。衛生面でも、下水道および汚水処理設備が完成し、ミカが主導する医療改革と合わさって、伝染病のリスクを極限まで抑え込んでいる。


3.外交と交通網ネットワークの支配

 街の中心部、工場区、そして第二の都市ヴェルザークを結ぶ『鉄道』が開通。ヴェルザークの領主であるセレスティナ様からは、バールの急進的すぎるやり方と軍事への投資に苦言(お小言)を頂戴することもあるが、学校建設などの多大な教育投資を行っていることもあり、基本的には良好な関係を保っている。

 特筆すべきはサクレアの戦後処理だ。旧支配体制を完全に解体して再構築し、現在、バールとサクレアを直接結ぶ『鉄道延伸工事』がすでに着工している。これが完成すれば、南部の物流は完全に我々が掌握する ことになる。それに追加して、4区への鉄道の開設も検討している。


4.経済・社会システムの近代化

 モネの主導による『中央銀行の設立』と『新硬貨の発行』により、バールの経済基盤は盤石となった。同時に労働組合との対話・協議システムを確立し、不満のガス抜きと労働環境の改善を両立している。

 また、活版印刷による『新聞の発行』を開始。これにより、王都が流すプロパガンダに対抗し、領民へ正しい情報と教育(あるいは都合の良い事実)を啓蒙することが可能となった。



「……これだけのことを、たった数年で成し遂げたというのか」


私はため息をつき、報告書の最後にサインをした。

 この異常な速度の改革を牽引した死神は、もうこの執務室にはいない。


だが、彼の後を継いで新領主(実質的なCEO)となったモネは、彼が去ったことなど気にも留めない様子で、今日も新たな政策を次々と打ち出し、猛烈な勢いで各局を回している。

 寂しがる暇すら与えられていないのが現状だ。


「ルイ様。……あなたが盤面から降りても、この街は止まりませんよ」


私は窓の外を見た。

 黒い煙を吐き出しながら力強く走る蒸気機関車と、活気に満ちた人々の喧騒。

 彼が蒔いた種は、すでに大樹となっている。我々は、この最強の国家を回し続けるだけだ。



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