第8話 「振り返れば」
、、、、、え?死んだ?僕が?、、、、何で?、、、、、何で言いきれる?
ハハっそんな訳無い、だって痛みとかもあったし、、、、、何で?、、、、僕達は死んだ?
訳分かんない事言わないでよ、、、おかしいよ、今もこうして息もしてるし生きてるじゃん。
じゃあ何?僕はもう誰とも会えない、、、、、それは父さんや母さん達にも、、、、、会えないって事?
そんなの、、、、、、
「、、、、、、、嘘だ。」
アザントさんの目が見れない、信じられない、信じたくないっ!
「、、、、、残念じゃが、真実じゃ。」
「嘘だ!」
「言いたい事は判るがの、、、、だが、、、、真実なのじゃ、、、、受け止めきれんとは思う、こんな言い方は酷じゃとは思う、お主はあちらの世界で確実に死んでおる、覆しようの無い現実なんじゃ。」
「嘘だ!!嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!」
「、、、、、、、、、、受け止めるしか無い、儂も最初は受け止めきれんで苦しんだ。儂は自分の考えで言っている訳では無い、過去から現在まであらゆる先人達・同輩達が考え、調査し、話し合い、導き出した結論じゃ、どういう事情かは知らんが、お主とて心当たりがある筈じゃ。」
「、、、、、、、うぐっ、、、、、ぅそ、、、、だ、、、、。」
立ち上がる事も出来ずその場で僕はどうしようも無く、苦しく、辛く、悲しく、でも泣く事さえも出来ず、ただその場に力無く座り込む事しか出来なかった。
◆◆◆◆
「年寄りの手料理で大した物じゃ無いが食べなさい。」
「、、、有難う御座います。」
料理を作り終えたアザントさんに食事を進められるが、僕は料理が盛られた器を持つも食事するする気分になれず、、、、塞ぎこんでいた。
━━僕は、死んだと云う現実を受け止められなかった。
お爺さんの言う通り僕は死んだと言うのは事実なのだろう、、、、でも、それでも、受け入れられなかった。
受け入れれる訳が無かった。
、、、なら僕は一体、どうなってしまうのか?どうすれば良いのか?色んな思考が消えては現れ、ループする。
今こうして助かった事に意味があるのだろうか?この世界の僕は幻みたいなものであって、生きているのか死んでいるのかさえ良く分からない状態、、、、、、あぁっ!頭が働かない、、、、何を答えとすれば良いのか分からない。
何なんだ一体、、、、、僕にどうしろって云うんだ、、、、何が間違ってたっていうんだ。
僕は頭の中が滅茶苦茶になりながらも、自分の頭の中のどこかでふと、自分のこれまでの人生を顧みる
僕、吾川流一は父の幸一と母の美紀子の間に生まれた4人家族だ。
長男が僕で、妹の名前は愛美(12歳)、まだ小学生だ。
父の幸一は、某大手お菓子会社の部長で、特に家族思いと云う訳では無いと思うが、これまで家族間のトラブルは無いし、しいて言えば酒好きでたまに同僚と遅くまで飲んで帰ってくる━━そんな日本のどこにでも居る様な普通のオヤジだ。
母の美紀子は、性格が明るく、近所付き合いの良い人間で、近所のおばさんたちとの会話が楽しいのか窓を閉めていても、外から笑い声が良く聞こえてくる。
一体、何が楽しいのだろうか?良くもまあ、毎日と飽きないものである。
そんな感じで近所付き合いが良好なのか、お陰様で知らないおばさん達に挨拶されたりするのが若干面倒くさいと云うぐらい。
そして一番厄介なのが妹の愛実で、どこからか僕の情報を仕入れてきては家族や友達にに横流ししたり、都合が悪くなると僕を強請る、油断ならない妹だ。
僕以外の人間に対しては外面が良く、学校では男子からの人気があるらしい(自称)
漫画やアニメが好きだと豪語しているが僕の部屋から勝手に持ち出しては、気に入った漫画は自分の部屋に置いてなかなか僕に返そうとしない性質の悪い女だ。
一般的にこれが普通なのかどうなのかは分からないが、多分一般的な家庭なのだろうと僕は思う。
僕自身は特に、誰か特定の人間や社会・生活環境に対して文句は無い、、、、だが満足か?と聞かれれば、答えは否であると答える。
僕は、この世界に世界に来る前の世界━━つまり地球、日本に居た頃の日常に僕は大した興味は無かった。
学校にも社会にも将来にも何一つ、一切の興味が無かった。
僕は、幼馴染の前田慎吾みたいにやりたい事が有る人間じゃ無い。
部活は帰宅部だし、将来の目標も無い。
ただ、義務だからやってるだけだ。
ただ、周りの大人から言われるからやってるだけだった。
嫌いな教師やうっとうしい大人も居るには居るが、我慢ならないと云う訳でも無く、ただ世の中には"そう云う人間も居る"と諦めているというか、知っていると言うべきかは分からないが、敢えて言うなら関わって欲しく無いと思っている。
僕と同じ様な世代の周りの人間の中にも、教師や親に反発する様な非行に走ったり、口答えしたりする様な人間もいるが、そう云う人達を見て僕は馬鹿だなあと思う。
本当に嫌なら、無視すれば良いし、適当に流せば良いと思う。
何故、いちいち怒られる様な行動を取るのか理解出来ない、、、、構って欲しいのか?と思ってしまう。
そう云う人達から見た僕は、きっと冷めた人間なのだろう。
そして自分自身も、所謂"ツマラナイ"人間だろうなと思う。
僕は、何かに大して本気になった事が無い、熱くなる事が無い冷めた人間、そう自分自身で評価している。
━━何がそんなに面白いのだろう?
別にそれは誰かを馬鹿にしている訳では無い、熱中出来る事は素晴らしい事だと思うし、良い事だとも思う、ある意味で羨ましささえも抱く、、、だがそう考えているだけで心の中ではそうやって夢中になれる人を少し理解出来無いと考えてるところがある。
僕自身、趣味は何かと聞かれれば、漫画やアニメ、ネットやゲームとかだと思う、、、、だが、必要か?と聞かれれば無くても困らない、、、、ただ退屈になるだけだ。
ただ、やる事が無くなってしまう、、、、それだけだ。
とどのつまり、僕は自分の人生を持て余しているだけだった。
そんな自分自身に僕は、自分がどこか他の人間と違うんじゃ無いだろうかと考えた時期もあった。
特別と云う意味では無く、どちらかと言えば異常と言う方に近いと思う。
だがそうは言っても、異性には興味は有るし(主に性欲的な意味で)、彼女も出来れば欲しいとは思う。
馬鹿にされる様な変なファッションはしたく無いし、お小遣いだって沢山欲しい。
世間一般と云う意味での社会から離れれる程、世を捨て切れる強者では無い。
だがどちらかと言えばそれは、恥を掻きたくないだけ、見栄を張っているだけだ。
その二つをクリアされていれば"別に何でも良い"、、ただそれだけだ。
明梟中学校に入学したのも親に言われて受験しただけだし、その為の塾通いもそう言われたからってだけだった。
別にこれと言って嫌でも無いし、拒否する理由が無い。
強いて言えば、趣味の時間がちょっと減っただけだ。
結局、主体性が無く命令されてやってるだけだった。
自分自身を好きになれないし、好きになってくれる人が存在するとも思えない、きっと嫌な奴だと思われてると思う、、、、だがどうしようもない、これが僕と云う人間だし、無理に変えようとも思わない。
自分自身で将来や目標を決めて生きてきた訳では無い━━ そう考えると僕は、日本に居た頃も今も余り大して変わらないと云う事に気付き、笑みともなんとも言えない苦い表情になる。
━━あの時、あのまま死んだ方が良かったんじゃ無いか?、、、ふと、そんな事を考えているとアザントさんは、僕の心情を読み取ったのか、食事の手を止めて僕に語り掛けてくる。
「、、、、、儂が最初にこの世界に辿り着いた時はそう、300年ぐらい前じゃったかのう、、、、。儂もまだ若く、死んだと気付いた時には荒れに荒れた。毎日酒を飲んでは酔い潰れ、拾ってくれた同じエルフの仲間達にも迷惑掛けてばかりじゃった、、、、、。」
僕は、何て言って良いかも分からず黙っていた、、、、。
「それと言うのも当時、儂達エルフの世界で大きな災害が起こってのう、両親が共に死んで家族と言えば唯一、歳の離れたアリアルと言う妹が居ってのう、木や花が愛でる様な優しい子じゃった。」
アザントさんは、悲しみとも取れる様な、懐かしく微笑ましい記憶を思い出しているとも取れる様な、そんな哀しい笑みを浮かべて過去を語る。
「エルフはのう、、、、排他的ではあるがその分仲間意識は強くてのう。そんな大変な状況でも助け合ってなんとか生きていたんじゃ、、、、じゃが、やはり災害の傷跡は深く容易に復興は進まなんだ、、、、そしてとうとう食料も無くなり、一人また一人と死んで逝き、体力の無い幼かったアリアルも早々に死んでしもうた、、、、そして儂もまた、、、どれぐらい経ったのか、暫くして後を追う様に力尽きてこの世界に来てしもうた、、、、、これもまた死に別れと言えば良いのかのう。」
アザントさんは苦々しく笑みを浮かべるが、僕は何と言って良いのか分からずただ黙って聞いて居るしか無かった。




