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今日も魔王は―――推しが尊い。  作者: HANA


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第4話 お昼寝日和

雲ひとつない青空の下、柔らかな風が畑を揺らし、小鳥たちが楽しそうにさえずっている。

午前中の畑仕事を終えた魔王は、大きく背伸びをした。


「ん〜……」


空を見上げ、小さく笑い、飛んで行く鳥を優し気に見つめた。


「今日は気持ちいいね」

収穫した野菜を抱えたクロウも空を見上げた。

「風も涼しいですね」

「うん」

魔王は心地良さそうに目を細める。

「こんな日は…」

「……」


「お昼寝日和だ」


クロウは静かに目を閉じ、頭を抱えた。

「……そう来ましたか」

「人生には、お昼寝が必要なんだよ」

「いや、魔族です。人生ではなく…あれ?なんて言うんだ?」

「細かいことはいいんだよ。クロウはまじめだなぁ」

魔王はそう言うと、大きな木の木陰へ向かい、芝生へごろんと寝転んだ。

風が黒髪を優しく揺らす。


「気持ちいい……」

ゆっくり目を閉じる魔王を見て、クロウも小さく笑う。

「毛布を持ってきますね」

「ありがとう」


数分後。

規則正しい寝息が木陰に響いていた。

すぅ……

すぅ……

心地よい風と小鳥のさえずりに魔王が微睡んでいた、その時だった。


「魔王ーーーーー!!」


元気な声が魔王城へ響き渡ると、魔王は目を開けた。

クロウは空を見上げ呟いた。

「……今日は来ましたか」


勇者はどうせ今日も魔王は畑にいるのだろうと、いつも通り、裏庭に駆け込んできた。

そして、魔王の姿を見つけると木陰まで一直線に駆け寄ってきた。


「いた!」

「やぁ」

「いや、友達かっ!」

「え、違うの?」

「違う!俺は勝負しに来たの!!」

魔王は息を切らし、服のところどころに枯草や泥汚れをつけた勇者を見ながら、目を閉じて小さく笑う。


「お昼寝タイム」

「寝るなぁぁぁ!!」


クロウは困った顔をしながら、勇者へ小さく頭を下げた。

「申し訳ありません」

「なんでお前が謝る!」

「今はお昼寝の時間なんです」

「魔王が昼寝すんのかよ!」

「魔王様が決めたので」

「自由すぎるだろ!」

勇者は魔王を見下ろし、大きくため息をつく。


「……起きるまで待つ」


クロウは少し驚いた顔をした。

魔王の討伐に来ている勇者。

普通ならば、このチャンスを逃すものはいないはずだ。


「お待ちになるんですか?」

「起きてる相手と戦いたい」

「さすが、勇者様」


勇者は座り込み木にもたれ掛かると腕を組む。


「30分だけは待つ」


風が静かに吹き抜ける。

鳥のさえずり。

木漏れ日。

あまりにも穏やかな時間に勇者は欠伸を一つした。


「……眠」

クロウは横目で勇者の顔を覗く。

「寝ませんよね?」

「寝ねぇ……」

数秒後。

こくっ。

こくっ。

「…………」

クロウは静かにクスッと笑いながら、空を見上げた。

木陰では

すぅ……

すぅ……

仲良く眠る魔王と勇者。

その寝顔を見つめながら、クロウは小さく笑った。


「本当に仲が良いですね」


午後の優しい風は、二人を起こすことなく静かに吹き抜けていった。



────今日の勇者。

寝顔も尊かった。

泥だらけになって、それでも人を助けて来たんだね。

君は素晴らしい勇者だ。



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