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欺瞞

 僕は空を飛び眺めるだけだった。冒険者が森に入り魔物と闘う姿を見れる。わずか9才で冒険者ギルドにいれて貰える訳も無く、身勝手に見学した。

母様の仕組みは簡単だ。悪意の大きさによって仕掛けが変わる。強く大きな悪意は村に近づけず石の中で永眠、小型は下半身が土に埋まる。とのこと。いやはや、この防衛魔法を維持する魔力は膨大で、簡単というにはあまりにも広すぎるだろう。


その悪意を見回った。棍棒らしきものを持ったオーガの石像、大きく口を開けたコボルトの集団石像にゴブリンよりも少し大きく見えたゴブリンの石像、まだこんなにいるのか。と勉強になった。

だけど、やはり魔法は生活を楽にするために使うのが一番だな。そう確信した。





かつて村で商売をして逃げた男から手に入れた情報。こんなにも用意周到に魔物を追い込んだのだ。普通であれば村、この量であれば街でも廃墟に出来る魔物の群を突っ込ませた。あとは虱潰しにするだけ。簡単で報酬が手に入る。そう思いながら村へ着くと、


意識が飛んで。私は牢に居たらしい。近くの牢にはずいぶん聞き覚えのある男達・・・いや儂は知らん。知らぬと自身に言い聞かせた。


食事は2食、エールと表面がテカテカな黒パンだけ。この時間だけは油に灯がともされる。ずいぶん上等な対応じゃないか。


さて、どんなヤツが尋問を行うのだろうか。



駄目だ。これは駄目な拷問だ。暗闇で男が発狂しだした。しゃべるから光をくれと。儂以外の者が発狂し出すのに時間は掛からなかった。舌をかみ切り自害した者も居る。時間がどれだけ経ったのかわからないが、糞尿とは異なるその者の嫌な臭いはこの場所全体に広がっている。


どれだけ続いたのか、儂にもわからん。光はあった。多くの者が狂いきった先で。


「まだ正気の者がいたか。尋問を行う。」


儂は助かった。


尋問者はキーリンという男。アリオラという男。メイラ名乗る女いや、聖女がいた。


「メイラ様よろしくお願いします。」


キーリンという男が発すると、メイラは緑色の粉を混ぜ始めた。くそっ、薬師か!


アリオラという男が背後で首の角度から腕の固定まで極める。


「おとなしく飲んで下さい。命までは取りませんから。」


鼻をつままれると、どろりとした苦みも甘みも無くまとわりつくような粘りのある何かを口に注がれた。


儂は絶望に沈んだ。それ以降の記憶?そんな物があれば儂は今なお苦しんでおらんよ。あの村に何故行ったのかすら覚えておらん。

そして何故に儂がこのような罰を受けたのかもな。魔物使いの能力も失われた。


あれは・・・死にたくなければ定期的に通わなくてはならないほどの毒だ。放置すれば全身が痛むというな。儂はもう諦めても良いのかもしれぬ。だが痛みを取り除きたくなる哀れな老いぼれだよ。




キーリンは必要と思われる情報から些細な情報まで全てを記した。尋問した者は魔物使いと呼ばれる希少ではあるが悪意に染まって村を消しかけた者への扱いは王都への護送と処分しかなかった。


「アリオラ殿。やはり聖女目的で、夢幻亭を目印に集まっていたか。結構な要塞にしてもらっていて感謝しか無い。」


「ここは食中植物か疑似餌の何かか?王城以上に堅牢ではないか。」


「返す言葉もございません。」


「いや、いい。これで我が国の暗愚が減るのであれば結果的に国王もお慶びになられる。」


「また、襲撃の際にはご連絡致しますのでどうかこの土地を見捨てになられませぬ」


全てを言い切る前に止められた。アリオラは王国軍全団が出会張っても落とせないそんな予感を持っているのだ。


「今日最後にひとつ聞きたい。あの者は聖女で間違いないか?」


「アリオラ殿。我が国の為にご尽力を頂く女神は聖女でありませんか?私はただの女と自称される者の不機嫌を招かないことに注力するのみですので。」


「よくわかった。国王に伝えよう。」

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