再建
小さな町の3軒しかない宿は2軒になった。家族を連れて街の代表に面会する。
帳簿に書かれた者は、家族の生活空間に侵入しようと色々と破壊工作したらしい。そのあげくが放火らしい。
ダラスタド。この男の名はは簡単に冒険者登録簿にある中堅の者。それが何故ここまでしたのだろうか?
イグニッサ。冒険者登録簿にはない、住民登録にもない、商業者帳簿にもない。つまり流浪の者。
娘はこの二人を見ており、私よりも上手に似顔絵を描いた。髪の色などの話からひとつの可能性につく。
妻の姉妹または血縁者。
妻の顔を・・・背けた。つまりは濃厚であると。
「ミレファン、怒らないの?ここで。私を。その過去を。」
遠話の魔法をこんな時に使うんじゃない!
「あ-、こんな見てくれだからな。愛を囁くのは似合わないだろ!」
怒気を孕んだ大声で子どもたちも驚いた。
「皆様、レハティー・イルグーセスという人物について心当たりは?」
いつもの穏やかな声で妻が言葉を紡ぐ。
「名前だけは。どこぞの国の聖女らしいが、行方不明で捜索が打ち切られたとか。」
流石は街の代表者だ。傭兵の俺は一切知らない。
「それと、この件に何の関係が?」
「えぇ、その関係者ということです。」
妻の一言に街の代表は押し黙る。
「ははは、妻も冗談が上手だ。さすがに酒飲み競争で負け無・・・」
街の代表の顔色が更に悪くなる。
「せい・・いや、関係者がこの町にいる。か。悪いことは言わん。このタイミングで街を出ろ。私は見てない、聞いていない、接触していない。ただ街の宿が1軒燃えただけだった。そうしてくれ。」
「あの、関係者であって、私が聖女なんてあるわけないじゃないですか。」
「冗談は止してくれ。お供だった者は全て確認されたんだぞ。」
「どこにでもいる無名の養女ですわ。」
「んなわけがあるか!」
街の代表の怒鳴り声に追い出される形で巡回馬車を捕まえ、家族と一緒にさらに寂れた場所へと向かうのだった。
7日に渡る移動。慣れない馬車旅は楽しくも有り懐かしくも有り、60を越えた私には次は無いなと感じさせた。
食事は黒パン、乾燥した肉欠片、日の経った革袋の水。けっして美味しい物ではない。それでも、空腹を誤魔化す為に食べた。
「父様、早く母様の料理が食べたいです。」
ギャレットの泣き言は毎夜聞いた。なぜ妻に言わないんだ?
「父様なら母様を元のお姿に」
「ギャレット、どっちの元の姿なんだ?」
今までの賢さから、聞きたい意図ぐらい読めるであろう。
「もちろん母様の方で」
漏らすことの出来ないため息を飲み込み、あの街から4つも離れた小さな中継地となる村に受け入れてもらうことと決めた。
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宿の燃えた町外れ。6名の男女がキャンプをしている。
「何故燃やした。」
「あまりにも防御が強く、かっとなり」
ぶっきらぼうに答える男に非はない。力ずくでもと言ったのはこちら側だからだ。
「いや、不問にしよう。」
「では報酬は?」
「達成できたと思って?」
ぶっきらぼうに答えた男と宿に泊まった女は質問を返す。
「だよな。1割で良い。」
予め用意されていた革袋を男は投げると
「欲の無い男だ。」
「いや、あんた達といれば命が幾つあっても足りない。」
普通ならばな。と中心的男は言葉を飲み込んだ。
やけに湿った風が通り抜けるとそのキャンプは闇の中で解散した。




