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花園

翔陽台女子大学付属高等学校。

特に古い歴史があったりするわけでもない、昭和末期に設立された普通の女子高である。

そんな古くも新しくもない学校だが一つだけ代々伝わる習わしがある。

それは───


「要するに姉妹(スール)制度ですな」


「スール?」


「聞いたことござらんか?先輩・後輩が姉妹の契りを交わすという」


「あー、なんか聞いたことあるかもだわ。アニメとかで見るやつ。実在するとは…」


「件の蛇苺さまにも妹がいらっしゃるのでござるよ」


「へぇ」


あの顔だ。下級生からキャーキャー言われて引く手あまたなのは容易に想像がつく。

教室の隅、例によって私と姫子、恵で固まり、弁当をつつきながら駄弁っていた。


「その妹というのが2年生の六ッ菱(むつびし)睦子(むつこ)さま。通称───」


「死の商人の娘」


珍しく姫子が口を開いた。姫子は無口で「うん」とか「そう」とか以外で喋る事は滅多にない。


「そう。あの六ッ菱重工の一人娘。それが睦子さまなのでござる」


六ッ菱重工。大小様々な武器を作り国内外へ売り捌く、我が国が誇る屈指の企業である。だが、口さがない者達からは死の商人とも呼ばれている。


「秀才やら金持ちやらこの学校はビックリ箱ね…」


もっと有名校とかあるだろうに。私と姫子は学力に見合った学校という理由で選んだというのに。ちなみに恵は中学からのエスカレーター組だ。


「睦子さまも人気があるのでござるよ。ゆえに、お二人をベストカップルと推す声も多いとか」


「はー…。我々庶民には縁遠い話だわね。二人とも将来は結婚するのかしら」


「そうかもしれぬでござるなあ。この学園で生まれた姉妹がそのまま結婚する事はそう珍しい事ではないのでござるよ。今はiPS細胞で同性同士でも子供が作れるでござるからなあ」


ちょうど5年前。この国では同性婚が可能になった。

公共のテストがズタボロの私はその辺の事情に明るくないが、海外からの政治的圧力やらがあり、また「同性婚を認めない事は違法」の判決が高裁やら最高裁で下され、女性同士での生殖が可能になった事もこれを後押しし、社会的気運が高まったとかなんとか。

とにかくこの5年で同性婚は無事社会に受け入れられた。まだ偏見も少なからず残ってはいるものの、今ではもう同性婚は珍しい事じゃない。


挿絵(By みてみん)

      ▲茨城姫子(いばらきひめこ)


挿絵(By みてみん)

      ▲(めぐみ)

なんやらかんやらがみてる。

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