第13話 真夜中の激突!
「はっ!」
拳に力を籠める。
「うーん、出ろ!」
腕をブンと振る。出ない。
夜の校庭で私は一人で奇行を続けていた。もちろん「力」を発現させるためにやっている事なのだが、やってもやってもその兆候は見えない。やはり蛇苺さまとのキスがトリガーだったのか。でも蛇苺さまを戦いに巻き込むわけにはいかない。と、いうのも。
今日も生徒会の会議に巻き込まれ、事務仕事を手伝わされ。ふらふらと教室に戻り教科書を鞄に詰めようとすると、机の中からひらりと1枚の紙が舞い落ちた。
──果たし状──
本日21:00、グラウンドにて待つ
私が果たし状なんて送られる相手は一人しか思いつかない。あの謎の生徒だ。来るなら来いってんだちくしょう。
21:00までもう少し。出ない「力」のことは忘れる事にして、私は柔道場の用具室から持ち出してきた木刀を握る。さあ、どこから来る…と思ったら普通に校門からふらふらと二つの影がやってきた。ふらふらというのは比喩ではなく、本当にふらふらしていた。
「よーっす」
例の謎の少女がチャイナドレスの女に肩を貸し、チャイナドレスの女は千酔っぱらっているのか千鳥足で歩いて来る。片手には酒壷を引っ提げて。
「自己紹介がまだだったね。あーしは九郎あまね。んで、この酔っ払いはスタッガー李」
「はあ。そりゃご丁寧にどうも」
「なんで一人?いまから殺し合いすんだけど」
「いや、そっちこそなんで二人!?卑怯じゃない!」
酔っ払いとはいえ、2対1。多勢に無勢。しかしやるしかない。狙われているのは私。これは私の戦いだ。なぜ狙われているのかわからないけど。それはきっとあの「力」が関係しているのだろう。震える手で木刀を構えた。その時───
「安心したまえよ、結合ちゃん!」
空から声がした。
「げっ。また来た」
あまねが悪態をつく。見上げるとそこには、
「蛇苺さま!?」
曲がったとんがり帽子を被り、マントを羽織って杖を持った蛇苺さまがふわふわと浮いていた。
「昨日は遅れを取ったが、今日はそうはいかないよ」
蛇苺さまが浮遊を解き、スタっと私の隣に降りてきた。何が起きているのかわからずぽかんとしている私を一瞥して蛇苺さまは悪戯っ子のようにくつくつと笑った。
「話は後だ結合ちゃん。今はとにかくあいつらを倒す事だけを考えて」
「じゃあ…」
「わかってる」
蛇苺さまは牽制するように敵の二人に杖を向け、そのまま私の方に顔を向けると唇を合わせた。何を食べてきたのか今度はミントの味がした。
瞬間、体に光が走る。力が漲る。制服は光に分解され、白い衣装へと再構築された。拳を握ると光が剣を形作った。
「覚醒から2度目でこれって、ありえないっしょ。やっぱ殺っとかなきゃ」
「それはこっちのセリフ。返り討ちにしてやる!」
殺されかけた恨みは忘れてない。
さあ、戦いの始まりだ!
▲スタッガー李
▲緑青蛇苺(魔女の姿)
▲褥崎結合 (アルテミスフォーム)




